法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ぼくらの大空中戦/ニクメナイン

前後とも原作あり。ただし前半は大きくアレンジを加え、やや尺が長めの特別編。


「ぼくらの大空中戦」は、みんなで「ミニ飛行機」に乗りこみ、遊覧飛行から飛行機レース、迫力の空中戦まで展開される。
脚本は水野宗徳。原作は単なる「大空中戦」で、物語の全編で戦闘が描かれる。それを今回のアニメでは、しずちゃんが女性飛行士にあこがれる場面から導入。原作通りのハエ退治とジャイアン退治をへて、飛行機レースが開催される。
原作では脇役だったしずちゃんを物語の中心に。ジャイアンの妨害にも負けず、のび太と協力してゴールを目指す。けっこう男まさりなエピソードが多いので、アニメオリジナル描写ながら違和感はない。実在の偉人を持ってくるのも物語にリアリティを生む。飛行機の作画は、やや使いまわしが目立ったものの、まずまずのクオリティ。
オチの東京タワーは原作通りだが、これは象徴的な存在なので、下手にスカイツリーにアレンジするより良かったかも。


「ニクメナイン」は、ジャイアンの怒りすらおさめる友人を真似しようと、のび太は秘密道具で憎めないキャラクターになる。
全体として原作から変化がない。尺が短めなので、描写を足して調節する必要がないのだ。結果として、このエピソードだけ登場する友人の存在が、逆に違和感ある。
しかしそれよりも、今回は映像に違和感があった。たしかコンテの堀之内元と作画監督の南伸一郎は初参加のはず。どちらも実力あるベテランだが、かなり構図や絵柄が独特で、前後と比べて浮いていた。それが魅力となるほど凄い作画というわけでもない。たまに原作でアシスタントが描いたキャラクターを思い出した。