「わたがし雲メーカー」は、空に浮かんでいる雲を綿菓子にできる秘密道具が登場。タケコプターで空まで行って、さらに味の変化をつけたりして楽しんでいくが……
清水東脚本*1がSFとしてイマイチで、山口晋コンテ回なのに楽しめなかった。オリジナル秘密道具の設定にひきずられてか、雲がせいぜい二階建ての家くらいしかないスケール感も悪い意味で絵本レベル。
「水分」を変化させたと説明しているが、糖分を生成するためには大気中の二酸化炭素もとりこんだという設定であってほしい。さまざまな雲が登場しながら、オチにつながる雷雲をのぞいては、さほど現実の理科的な知識を反映させていないのも残念。
怪獣や巨大ヒーローが空に浮かんだビジュアルはさすがの巨大感ではあったが、綿菓子なので重量感は表現されず、アクションの楽しみは弱い。
「ねがい七夕ロケット」は、願いをかなえる秘密道具を出したつもりが、実際は願いの逆を実現する秘密道具だった。のび太はそれでこづかいを失ってドラえもんと喧嘩別れするが……
どの単行本にも長らく収録されなかったためか、公式サイトには記載されていないが*2、実際は原作があるエピソード。前半の演出も担当した木野雄がコンテ。
のび太があえて逆の願いをする思いつくが、それを知らずにドラえもんが願いをかなえる秘密道具に交換している衝突が予測可能で、サスペンスが高まっていく。そこでジャイアンとスネ夫が乱入するサスペンスを足して一息つかせ、安心させたところをスネ夫がのび太の願いもかなえてやろうとして再びサスペンスが始まる……というツイストをきかせた構成がいい。
何よりクライマックスのロケット打ち上げ作画が素晴らしい。エフェクト作画も見事だし、止め絵スライド処理している打ち上げ後の煙もリアリティがあった。
*2:実際、私も読んだ記憶が残っていない。「わたがし雲メーカー」「ねがい七夕ロケット」|ドラえもん|テレビ朝日