法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

フィクションが作られる意味は

ステレオタイプに収まりきれなかった要素にある。あえて俗情から導入し、理屈で道筋を固め、しかし感覚でも観念でもない歩みの先に、理論で語ることのできない一瞬があるのだ。
……ということで、いずれ出崎版ブラックジャックをまた語りたい。最新作『あさきゆめみし』が『源氏物語千年紀 Genji』に変わった経緯を思うと、出崎統監督本人が最もハードボイルドな壁にぶつかりゆく卵ではないかと思ったりもするが*1


ステレオタイプを否定するどころか全く関係ない観点からものごとを提示するのは、あるいはドキュメンタリーの領分ではないかとも思う。森達也氏が主張するほどには、ドキュメンタリー作家の創作性を肯定したくない*2

*1:源氏物語村上春樹エルサレム賞スピーチ、出崎統サイゾーインタビュー、『ヘタリア』騒動、これらは様々な形で重なっている気がしてならない。

*2:森氏も出演した『ETVワイド ともに生きる』の紹介もいずれ書く予定。表現と差別の関係性に根本から関わる、良いディスカッション番組だった。