法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

表現の自由をめぐる禅問答

真面目に難しい問題もふくんでいる、2008年11月2日の記述に対して。
http://www.tikuwa.com/index2.html*1

 つか、大先生的には表現の自由は制限付きらしいので、出来ればソース付きでその基準がどういうモノであるのかを語って欲しいんですけどネ。
 まさかローカルルールによる自主規制や、他の法律との兼ね合いでグレーゾーンになっている部分を指して、そう主張しているワケじゃないだろうし、“表現は無制限に自由だ。でも同時に制限されなきゃいけない瞬間もある”という主張ならまだ理解出来るんだが、それを“表現は無制限に自由じゃない”とするのは、矢張り主観的な拡大解釈による誤謬だとオレは思うのね。

確かに「表現の自由は、けして無制限に許されているわけではないのだ。」と書いたことはある*2。これは、メカAG氏が「社会制度は必要だから存在している」と書いたことを受け、裁判という「社会制度」で名誉毀損とされた表現の例を引いたもの。つまり表現の自由を行使した者が表現の責任を取らされた例であり、自由を批判されない権利と勘違いしているかのようなメカAG氏への批判である。もちろん、表現を行う際に制限がつく自主規制とは異なる。また、現に無制限ではないという事実の指摘であって、無制限であってはならないという話とは厳密には異なる。
しかし“制限されなきゃいけない瞬間もある無制限”というような表現は、まるで禅問答だ。ちくわ氏は「まだ理解できる」そうだが、私には理解が難しい。普通、制限されなきゃいけない瞬間があれば無制限とは呼ばないと思う。


さて、11月4日への返答だが、長文になったので続きを読む方式で。

“近い”って言葉は確かに“同然”の意ではないけれど、そこに悪意があれば“同然”と受け取ってしまうのが人間の感情ってもんですよ。

これ以降も延々と、誤解した責任を逃れるためだけの釈明を長々と書くから、文章がまとまらないのだと思うよ。相手に明らかな書き間違いがあったならともかく、「悪意」「感情」「機微」といった理由ばかり書かれても困る。

 云っちゃなんですが、加害者に近い云々が、大先生なりのオレへの皮肉だって事くらい、じゅーぶん理解してますよ。その上で真っ向正直に捉えたのは、一重にネット上の舌戦で起きた個人VS個人の名誉毀損をめぐる裁判の判例が、オレが調べた以外に有るのか否かを知りたかったから。
 それを想像力どうこうで、“加害者”呼ばわりしたのか、“加害者に近い”呼ばわりをしたのか争点にしだすとなると、最早斜め上。“皮肉を込めた釣りでした”の方がいっそ納得もいくし、“あいた釣られたこりゃ参ったぎゃふん”で済んだ話。

批判されることと喧嘩吹っ掛けられることの区別がつかない人 - 法華狼の日記だが、[ちなみに、ネットでも誹謗中傷や荒らしの程度によっては「実害」が認められることがある]としか書いていない。もちろん“個人VS個人”といった文意も込めていない。
あくまで懲戒請求扇動裁判に話を戻す前振りであって、「“これ以上キチガイ呼ばわりするなら、訴えるぞ!”って事なら、これほど愉快千万な事はないんだけども」*3と反応されたのは予想外だったし、だから誤読であることを伝えた。話題と関係ない質問をすること自体は自由かもしれないが、主張を読み違えていると指摘されたことをもって「斜め上」といわれても困る。
なお、懲戒請求をめぐるやりとりに「想像力」を持ち出したのも、ちくわ氏が先だ。自分で始めた話題を今さら「斜め上」と拒絶するつもりだろうか。

 相手が下だと認識しているのであれば、ずっと高見からの視点でそれを為すべきなのに、結局“アホバカボケカス”という罵倒の言葉を別の言葉なり云い回しなりに置換しているだけとまるで気付いていないから、“加害者そのものと主張したワケではない、近いと云っただけだ”と嘯く。“加害者に近い”とは真っ当な感覚で受け取るなら、充分に酷い罵倒ですよ。

まず、現時点で懲戒請求扇動者達が加害者扱いされる理由は示した。そして懲戒請求扇動者達への共感を示す限り、「被害者より加害者によほど近い」という表現を用いることに大きな問題があるとは思えない。

ぶっちゃけ、あんたの考え方なんか、知ったこっちゃありませんがな。あがー。

「“これ以上キチガイ呼ばわりするなら、訴えるぞ!”って事なら、これほど愉快千万な事はないんだけども」という文章に対し、訴えるつもりがない説明をしたのだが。
11月1日の記述はレスしてほしい要点をまとめたと書いていたので回答したのだが、今さら「知ったこっちゃありません」はないだろう。

 仮に、大先生が加害者って言葉を刑法のそれと勘違いしていたとして、“刑法の犯罪者って意味じゃなくて、民法の犯罪者(ヘンな言葉)って意味ですよ。そんな重く受け止めるなんて計算通りプギャー”的なオレを釣るための言葉遊びのつもりだったって話なら、そう書けば済む話だしな。

後述するが、加害者と犯罪者を混同しているのは、ちくわ氏だけだ。
現実に、懲戒請求扇動で民事裁判が行われていて、一審判決で被告側主張のことごとくが失当と指摘されたことを前提にしている。「加害者によほど近い」という話の直前で「加害者」の説明していたのに、なぜ無視するのだろうか。
比喩や皮肉や罵倒ではなく、この懲戒請求騒動には、実際に加害者と被害者が存在している。

 最初は、そのまんま法華大先生への皮肉かなと思ったんだけど、文脈を読む限りではオレへの皮肉っぽい。しかし、法華大先生が加害者=民法上でしか用いないという事実に気付いていなかった以上、その皮肉はオレにではなく、法華大先生に向かってしまうワケで。

ちくわ氏の「犯罪が実際に起きたワケでもないのに、手前勝手な主張で他人を加害者扱い」という論旨が誤りと指摘していることに気づいていないのだろうか。
ちくわ氏の加害者と犯罪者を混同する発言が厳密には誤りとなる一方*4、私の主張が誤りということにはならないのだが。

発言を引用したサイトが、情報の正確性でなく民意にそっているか否かを報道批判の根拠にしている点は、ある意味で「マスゴミ」という呼称と一貫性があると思う。

これが罵倒になる理由がわからない。他の言葉についても、弁護方針を誰が決めているのか考えない人 - 法華狼の日記で説明した通り、ちくわ氏の言動を受けた評価だ。少なくとも、ちくわ氏も自認する明らかな罵倒文句より、よほど抑えた表現のつもりだが。

 っつーか、道徳を話に持ち出しながら罵倒をくりかえす人についてっつーエントリタイトルもまた、作為的だよなあ。
 突っ込むとどーせ、“ちくわの事とは云ってない”とか、“道徳(ryと云っただけで、それが悪いとかどうとかは云ってない”とか云い出すんだろうけど(笑)。
 そもそも大先生とのやり取りで一度も道徳なんて口にした覚えはないんですが、何処に明記しているのか(ry

たとえば、mash_plus氏への返答で道徳教育に言及したことを忘れたのだろうか*5
「道徳」を好んで話に持ち出す人の言動が、必ずしも道徳的とはいえないという、皮肉な話だ。

( ´Д`)「ちぅか、道徳口にしたら、他人を罵倒したらあかんのか? それは誰基準のどないな道徳なんや?」

 知らね。道徳なんて、それこそ人の数だけあるからな。そこの齟齬を擦り合わせるのが常識だったりルールだったり法律だったり原理だったりするワケだが、躾の悪いガキをぶん殴るのも、ところによっては道徳教育だからなあ。
 そんなもん、世の中が0と1以外で構成されていると理解していれば、批判にも揶揄にもならんと理解出来ると思うんだが、いやはや、民主主義というのは平和な世の中ですな。

他人を罵倒してもいい道徳があるのか。「他人の嫌がる事をしちゃいけません」という教育を批判拒絶の文脈で持ち出した時*6にも驚いたが、それを上回る衝撃だ。
ちくわ氏の受けた教育は私の受けた教育と大きく異なるようだ。何というべきか、悪かった。

 つかこれ、大先生がウチの2007年9月3日の日記を引用批判の材料にしたそのときから、オレは首尾一貫して橋下が懲戒制度という弁護士に対する批判システムが存在する事を流布してくれた事は評価してるが、その功罪をちゃんと告げずにイタズラに扇動した事は批判していたんだけど、これが大先生のオレへの批判の根本だとするなら、最初から大先生がオレの文章を読み違えて一方的に噛み付いていただけって事になるんだが(笑)。

まさに一審判決は、制度を紹介しただけという橋下弁護士の主張をしりぞけている。TV番組発言以降にテンプレートサイトが作られ、多数の懲戒請求が行われていることから因果関係が認められた。功罪を告げてさえいれば扇動にならなかったというわけではない。情報の紹介により懲戒請求が増えることが予想される場合、それはやはり扇動と見られる。裁判では「流布」を認めた時点で、「扇動」を認めたこととほぼ同義だ。「批判システム」を紹介しただけといういいわけは通らない。
そして、ちくわ氏が後々まで表明したような*7、数で懲戒請求できるという思考こそが、扇動擁護に他ならない。懲戒請求が殺到させたことが扇動被害の要点だ。一審判決が出る前、ちくわ氏とやりとりした初期にも同じ指摘をした。
全体的に私ではなく藁人形が叩かれているように感じられる。 - 法華狼の日記

請求を多数出せば通るという考えに賛同しているのでは、「橋下発言の功罪はちゃんと判断」しているとは思えない。問題があると一部認めることと、問題を正しく把握することは同じではない。

そう、同じ指摘をしたのだ。

*1:成年向けイラストサイト注意。以下、ちくわ氏の発言は全てここから引用。

*2:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081003/1223009375

*3:2008年11月1日の記述。

*4:ただし以前「傷害致死」の件でも書いたように、あまり法律用語の誤認を厳しく批判するつもりはない。

*5:2008年10月7日。同時に「他人の感情が理解出来ない人の集まりだから、それも仕方ないですね」等の、自身への批判者を同一視するかのような発言もしている。

*6:10月7日の記述。

*7:2008年10月2日の記述。「とまれ、懲戒請求に至る手順に、橋下の言動が深く関与しているのだとしても、そこに違法性があるとして、それを撤回した人間が数人いようとも、撤回しなかった人間のが圧倒的に多いという事実は、それだけ多くの人間があの弁護団に異常性を感じたって事だと思うんだが、日弁連は正式な手続きを踏んで送られた2400通の懲戒請求すら受け付けないって事だよな。」