Bパートは、原作で屈指の感動的な話を手際よくアニメ化したかと思えば、次回SPへの引きでしかなかった。そう悪い出来ではないが、特筆するところもない。
とにかく今週は、木村哲コンテによるAパートがとんでもなくシュール。あらゆる存在を自由に彩色できるひみつ道具が登場し、のび太が世界の色を変えていくわけだが……
実際に制作上の問題から彩色を間違えた映画『ガンドレス』*1を思わせる映像が、意図的な演出と理解していても不安な気分になる。ひみつ道具が暴走して真っ暗な背景を黒く彩色されたのび太がさまよう場面など、実験アニメを見ている気分になった*2。
内容も、たまに原作『ドラえもん』にある不条理話をさらに誇張したような展開。黒い絵の具が暴走する理由がさっぱり画面から読み取れないことが、逆に恐ろしいホラーになっている。絵の具がこぼれる原作描写から変更したのは、ある意味で英断だ。