法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『大江戸ロケット』第1話 大江戸に咲く紅い花火

舞台劇が原作の、水島精二監督によるTVアニメ。9月21日まで、ネットで第1〜13話無料配信中*1。試しに第1話だけを視聴。
かなりコメディ色が強く、ビジュアル的に大地丙太郎監督アニメを見ているような気分になる。実際、大地監督の『十兵衛ちゃん*2キャラクターデザイナーが同じ吉松孝博で、制作会社もマッドハウス。時代劇風味という点も共通している。
そう、舞台は贅沢が禁じられた改革時期の江戸。社会から外れた者達が主人公で、敵役に鳥居奉行が登場し、さらには怪物の戦闘まであり、前後して終了した『天保異聞 妖奇士』の裏作品といった感もある*3


冒頭のリアルかつハッタリがきいた打ち上げシーン、殺陣がよく組みたてられた怪物アクション、政道に反して意地を通す主人公、仲間を助ける長屋の小粋さ、部屋にいきなり転がり込んでくる不思議少女……1話の情報量は相当なもので、見ている間は飽きずに楽しんでいられる。
しかし、見終わった後に強い印象はあまり残っていない。全体的にドラマの決着をつけず、あるいは背景状況を描かない寸止めぶりが、結果的に話を丸くおさめているのだろう。ほんの少しのサジかげんで、こうも地味な雰囲気になってしまうとは。


すでに水島監督次作の『機動戦士ガンダム00』でも珍奇な設定が公表されているが、同じように良くも悪くも統一感やバランスが取れた作品になる気がする。その点では、初期情報のトンデモぶりはさほど心配することはないだろう。
いや、むしろ水島精二監督がいびつなアニメを作ったとしたら、その方が驚きかもしれない。『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』で、せっかくの中盤アクションや終盤殺陣を、バランスが悪いからと削った人間だ。

*1:http://character.biglobe.ne.jp/special/ohedo/

*2:過去の歴史描写も登場するが、基本的には現代劇。キャラクターデザイン原案は「むっちりむうにい」という漫画家。

*3:シリーズ構成が同じ會川昇。作品の雰囲気からすれば『大江戸ロケット』が表かもしれない。