法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

橋下徹弁護士の記者会見報道について

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070905k0000e040065000c.html

橋下弁護士:母子殺害弁護団からの賠償訴訟で反論会見
 山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団(22人)に加わっている広島県の弁護士4人から、テレビ番組での発言を巡って損害賠償請求訴訟を起こされた橋下(はしもと)徹弁護士(38)=大阪弁護士会所属=が5日、東京都内で会見し「法律家として責任をもって発言した。違法性はないと確信している」と反論、全面的に争う姿勢を示した。

 橋下弁護士は「差し戻し審でなぜ大きく主張を変えたのか、被害者や社会に分かるように説明すべきだ」と弁護団を批判した。

 原告4人が3日に広島地裁に出した訴状によると、橋下弁護士は5月27日に出演した関西の民放テレビ番組で、弁護団について「もし許せないって思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたい」と発言。この後に4人は各約300件の懲戒請求を受け、対応に追われて業務に支障が出たと主張、1人当たり300万円の賠償を求めている。

 同事件で殺人罪などに問われている被告の元少年(26)は1、2審で無期懲役判決を受けたが、最高裁は昨年6月に破棄。広島高裁での差し戻し控訴審で、弁護団は強姦(ごうかん)目的や殺意を否認している。

 原告4人を含む弁護団22人への懲戒請求は、全国で3900件に上っている。【高倉友彰】

毎日新聞 2007年9月5日 12時45分 (最終更新時間 9月5日 12時58分)

どこの報道も情報量は大同小異。メディアを通したアピールの難しさを、自分の身に降りかかって痛感しているのではないだろうか。今回は誤報への抗議と違って自身に正当性があるとは限らず、思い通りに発言を掲載させるのは難しいだろう。


ネットで最もくわしいのは、おそらくJ-CASTだろう。
「弁護士会はバカ」 橋下弁護士会見でケンカ売る : J-CASTニュース
ニュースサイトとしては問題が多いが、紹介されている範囲の弁明内容はとりあえず信用しておく。以下、強調は引用者。

――今回の事件の弁護団は、1審、2審で被告人は犯行についての具体的内容については争っていないにもかかわらず、上告審弁論に日弁連の行事のため欠席した上、加害者の「強姦」が「死者を復活させるための儀式だった」などとこれまでまったく主張してなかった新たな主張を展開した。

……自分のブログで、証拠精査の時間不足で欠席したという理由に一定の妥当性を認めていた*1のを忘れたのだろうか。

その一方で、「品位を失うべき非行」という規定についても「品位の中身を決めるのはできないし、馬鹿げた規定で、弁護士会はバカ」とし、
「(弁護士は)免許業であるにもかかわらず国の監督権限を受けない。この言いわけのために『懲戒請求』の制度がある。いわば『弁明の具』だった」
と持論を展開した。

自身で制度を紹介しておきながら、安易な懲戒請求が違法とされること等が知られた後になって、制度を批判し始めるのは印象が悪い。
懲戒請求の制度について無知だったなら愚かだし、懲戒請求に規制があることを隠していたなら確信犯*2だ。

また「懲戒請求を呼びかけていながら、自身が懲戒請求していないのはおかしいのでは」といった指摘もあり、これについは*3「時間と労力を省いた。自分でやらなくても、というところはありました」と弁明した。

……考えられる限り、最悪の弁明だ。
被害者遺族に欠席理由を説明しに行くべきと主張していたのは何だったのだろうか。扇動した懲戒請求に時間と労力を消費させた一般人、反論に時間や労力を取られる弁護団、膨大な懲戒請求を受け取った弁護士会、諸々に対して失礼だとは思わないのか。

*1:http://hashimotol.exblog.jp/6259063/「欠席した理由は、最高裁が期日延期を認めなかったからだって。弁護人として十分な準備ができなかったからだって。その理由は一理ある。」

*2:正しいと確信して罪を犯すという本来の意味合いで。

*3:原文ママ