1980年代から人気だったTRPG発のファンタジー小説を1991年にOVA化。制作はメディアミックスを主導した角川がクレジットされているが、実制作はマッドハウス。HDリマスター版で二十数年ぶりに視聴した。
止め絵重視で期待より動かないOVAという印象があったが、あらためて見ると記憶よりは動いている。もちろん細かいタッチをつけた絵柄のまま動くことは滅多にないし、集団戦を止め絵やバンクで省力しているが、トップクラスのOVAやアニメ映画と比較しなければ当時としてはハイクオリティといっていい。
けっこう話数ごとに絵柄が変わっているが、おおむね魅力的な作画をたもっている。うるし原智志作監回を華やかなダンスエピソードに当てているスタッフわりふりが良い。沖浦啓之作監の第3話も『機動警察パトレイバー 2 the Movie』の担当パートを思わせる煙エフェクト作画が楽しい。動きが全体的に魅力的なのは『スプリガン』の川崎博嗣コンテ演出の第8話と、スタッフが結集した最終回の第13話。
ただ主人公と世代が近いライバルキャラクターのアシュラムがエピソードごと、場合によってはカットごとに顔が変わって見えるのが難。かなり記号的な悪役美形顔だが描きづらいのだろうか。
OPはヒーローとヒロインふたりに焦点をあてているので、すばらしいTV版より簡素な印象だったが、あらためて見るとコンテの構成がよく似ている。むしろOVA版のOPを原型としてTV版のOPを作ったのかもしれないと今さらながら気づいた。
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物語も、ゆっくり追っていた当時はタイトルのわりに戦記物という感じがなかったが、一気につづけて見ると二国の王となった英雄同士の対立に他の国が巻きこまれ、王が陰謀で退場して状況が混迷しながら世代交代して物語がつづく構成は明確。意外と記憶より歴史物や戦記物らしさがある。
むしろ終盤のとらわれのヒロイン展開がとってつけたようとまでは言わないが、ファンタジーの類型でそれっぽくまとめようとした感があった。ヒーローとヒロインふたりの物語としては終盤に問題があるわけではないし、むしろヒロインは序盤から主人公の彼女面がすごすぎて良くも悪くもエルフの高慢な印象と乖離しているくらいだが……