そもそも批判に値するような確固たる主張すらしていないのではないか、とも感じる。
橋下弁護士ブログの文章は改行頻度が激しく、意味が重複する文章も多く、感情に任せて書いていないだろうか。それこそ枝葉末節にこだわって、一貫した説明ができていないのではないか。
実際に主張は一貫していない。
http://hashimotol.exblog.jp/6366720/
緊急集会でも村上弁護士は、被告人は順手で首を絞めたわけじゃない。逆手で首を絞めた。口をふさごうとしたところ、手が滑っただけと強調していた。
その場のカルト弁護士集団も、証拠に基づく的確な事実認識と感極まっていたけど、馬鹿じゃないか!!
僕は質問した。「逆手であっても、被害者は亡くなっている。相当な力が入っていたからこそ死に至ったんじゃないか」
村上弁護士も、相当な力が加わったことは認めた。
単体でも説得力がない文章だが、以前に自身が書いたことと矛盾した内容にもなっている。
http://hashimotol.exblog.jp/6258733/
僕だって「一審・二審」の弁護人として就任したらそのような主張もするだろうし、今回のような差し戻し審の弁護人に就任したなら、まずは被告人の更正可能性を徹底的に主張した上で、きちんと被告人や国民に説明する形をとってからこのような荒唐無稽な矛盾だらけの主張を行うでしょう。だから、この緊急集会でも、弁護団の主張内容についての論争は避けました。
弁護団の弁護内容は問題になるのか否か。論争を避けたのか否か。
結局、何を根拠として懲戒しようとしているのか、橋下弁護士のブログからはわかりにくい。「世間の空気」に流されて弁護団を否定し*1、一般による懲戒請求を煽りながら、実際の問題に発展したために意見を後退させ、迷走しているだけに感じる。
では逆に、光市母子殺害事件の裁判において、橋下弁護士が懲戒事由として“いない”弁護団の行動に注目してみる。
http://hashimotol.exblog.jp/6259063/
まず、裁判の欠席だけでは懲戒事由にならない。
欠席した理由は、最高裁が期日延期を認めなかったからだって。
弁護人として十分な準備ができなかったからだって。
その理由は一理ある。であれば、その旨を、被害者遺族に徹底的に説明しなければならない。
その上で、欠席でしょ。
次に、弁護主張だけでも懲戒事由にならない。
僕も刑事弁護をやる中で、そりゃ常識はずれだろ!と思うような主張もやってきた。
検察官の失笑を買いながら。弁護人が唯一被告人の味方であり、被害者や世間の声は、検察官が代弁するものだという基本認識は、僕とカルト集団弁護士も同じだと思う。
だけど、僕と、カルト集団弁護士の決定的な違いは、被害者や国民に対しても配慮するかどうかという点。
結局は、遺族に挨拶をしていないことと、世間に説明できていないという理由しかない。
しかし世間に説明しないのは刑事裁判一般も同様だ。さらに他の弁護士や弁護士会も、光市母子殺害事件弁護に特有の問題点は見出していない。橋下弁護士が問題にしていることは、他の弁護活動一般で普遍的に見られるものなのだろう。
つまり、光市母子殺害事件固有の問題など、何一つ懲戒理由になっていないわけだ。橋下弁護士は安田弁護士ら弁護団だけを問題にしているわけではなく、弁護士全体を問題にしている。
懲戒請求にかければ、たとえ懲戒にいたらなくても弁護団が対応するため時間がかかり、光市母子殺害事件裁判の長期化をまねく。弁護士会にかかる負担で、他の裁判活動にも影響が出る可能性すらある。
さらにもし実際に懲戒されたなら、次の弁護人を選出するまで裁判は確実に停止する*2。選出された新たな弁護人が資料を読みこんで弁護方針を決定するまでにも時間がかかる*3。
裁判の長期化が悪だというならば、懲戒請求を行うべきではなかった。橋下弁護士は弁護士会全体を問題にしたいがために、光市母子殺害事件を利用としたとすら思える。
結局、弁護士が世間を知らないことを問題にしたかったなら、橋下弁護士は懲戒請求やその扇動でない方法で争うべきだったろう。もともと弁護士として他の弁護士や組織に意見できる立場にあり、メディアで発言できる場も複数持っており、ブログを書く余裕すらあるのだから。