法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『わんだふるぷりきゅあ!』第35話 悟の告白大作戦

 学校で少女からの告白を兎山悟が断るところを、猫屋敷まゆとユキが聞いてしまう。しかし悟の想い人の犬飼いろはは、ケイジという客のすばらしさを語り、紹介するという。まゆは無責任に悟をたきつけ、メエメエは悟がはなれていくことを嘆くが……


『デリシャスパーティ♡プリキュア』でシリーズ構成を担当した平林佐和子の脚本で、同じように主人公とおさななじみの異性の恋愛を正面から描いていく。良くも悪くも過去回で描いてきたことの延長で、まゆは他人の繊細なところに踏みこみすぎるし、メエメエは悟への愛着が過剰すぎるが、低年齢向けということを忘れたラブコメ回としてはピュアで良い。過剰な周囲の行動で笑いをとりつつ、中心のふたりはシリアスな空気でひきしめる。
 ケイジの正体が犬ということは多くが予想したとおりだが、それを早々に明らかにして飼い主の青年ケイイチといろはの接近を描いて、いったん消えた悟の危機感をあおりなおす構成のメリハリが良い。冒頭で悟に告白した少女には固有性がないし、ケイイチもさざなみをたてるだけでドラマに深くかかわっているわけではないが、かわりに作品フォーマットを活用して悟がプリキュア戦に助力しかできない無力感を描いていく。
 作画演出も全体的に良好。第1話で演出処理を担当した若手の広末悠奈が演出をおこない、さまざまな絵柄を駆使して楽しい画面をつくっていた。敵を奥にプリキュアを手前に配置しつつ回りこむ描写など、空間をダイナミックにつかったアクションも目に付く。廣中美佳の単独作画監督も全体的にかわいらしく、少し引いたショットはディテールを適度に省略し、クローズアップでは繊細に表情を描きこんでいた。