法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エウレカセブンAO』第十八話 ドント・ルック・ダウン(episode:18 third engine)

脚本として和場明子が初参加。すでに外伝マンガのシナリオを担当しているらしいが未読。


前回に続いてアオが米軍にとらわれた状態なので、フレアとエレナの衝突で物語が動いていく。だから女性脚本家に担当をわりふったのかな、と思ったり。
しかしエレナの不審な行動は今回まで秘密裏だったわりに、真相は全く明らかになっていないわけで、あまり情報開示の手際は良くない。その手際の悪さをフレア個人の性格描写として回収することで四苦八苦といったところ。
格納庫内で味方機同士が格闘戦をしたり、ガゼルが悪役を演じて子供達を動かしたり、いくつか見せ場はあったものの、全体としては繋ぎ話。対シークレット戦が一段落ついたので、本格的な対人戦が始まるという引きは期待させるが、多くの謎を積み残したまま対立構図が変わることに不安もある。


今回トゥルースが出なくても展開が足早だったのだから、あまり真意も立場も正体も隠した人物ばかりが表舞台に立つのは、ちょっと連続活劇としてつらいところがある。
BLOOD-C』ほどではないが、似た問題点を感じている。『屍姫』のようにならなければ良いのだが……

『Rの法則』秋のアニソン祭り

NHK教育の十代向けサブカルチャーバラエティ番組で、4日間にわたってアニメソングが特集された。実際に現在に放映されて若いアニメファンに人気ある作品を集めていたところが、懐古的な民放のアニソン番組とは違うところ。きちんとアニメ映像も番組内で見せていた。


個人的には、アニソンを歌単独ではなく作品を構成する要素として楽しんでいるので、番組が最も楽しかったのは映像を特集した3日目。
紹介した作品の選択も悪くなかったと思う。フラッシュカット演出の先駆けとして『新世紀エヴァンゲリオン』OPと、少しずつ変化させる例としてED。作中のキャラクターがリズムをとるMTV的な演出に、有名な歌手が参加しているという売りを持つ『ZETMAN』OP。そしてフラッシュカットを初めとした最先端かつ最大公約数な作品として『ギルティクラウン』OP。この3作品を超える最近の名作は他に多数あると思うが*1、限られた番組時間でアニメOP演出の進歩を、一つの基準にしぼって見せるには悪くない*2
ついでに、偶然にも先日のエントリタイトルを否定するように、過去の名作として『カウボーイビバップ』のインストOPまで紹介されたことも面白かった。
アニメソングで特集されることがない傑作OP - 法華狼の日記


一方で、内容が印象深かったのは、アンケートで若者に人気のある歌詞フレーズをランキングした1日目。
1万年2千年前からの壮大な愛を歌った、真面目なようでけっこうバカアニメだった『創聖のアクエリオン』OP。憂鬱で退屈な日常を紛らわせたい少女がダンスして、視聴者の日常も楽しくさせた『涼宮ハルヒの憂鬱』ED。ボーカロイドの歌をニコニコ動画で公開していた作曲家による、届かない恋を饒舌に語った『化物語』ED。
時代が新しくなるにつれて人気が高まっていき、世界観が狭くなっていくという傾向が、時代を映していたように感じられた。もちろん一番組のアンケートに依拠して考えることは危険だし、あくまで思いつきにすぎないが。

*1:ノイタミナなら『坂道のアポロン』OPとか。ただ、後で菅野よう子を紹介するため、ここではsupercellを紹介したという意図は想像できる。

*2:私自身は、OPあるあるネタで走る映像として『STAR DRIVER 輝きのタクト』OP1期を思い出したり、斬新な映像表現として『ベターマン』OPを思い出したり、OPあるあるネタを排して成立させた『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPを思い出したり、どうしても見ていて極端なOPばかり思い出していた。

国際人権A規約の漸進的教育無償化条項が、ついに留保撤回とのこと

http://www.asahi.com/politics/update/0317/TKY201203170184.html
上記事のように方針としては今年3月時点でも報道されていたが、実際に国連へ通告書の送付がされたという。
http://www.miyamoto-net.net/column2/new/1347417118.html

 日本政府は昨日の閣議で国際人権(社会権)規約13条2の(b)(c)項、「中等教育および高等教育の漸進的無償化」条項の留保撤回を決定。

 昨夜23時30分(NY時間9月11日午前10時30分)​国連に通告書を送付し、本日午前10時30分、私に最初に報告に​来ました。これは歴史的なできごとです。通告書は即受理され、各国に「回状」が出される予定です。

 今年2月21日の衆院予算委員会で玄葉外務大臣が私に対して「留保を撤回したらどうかという判断をして、指示をした。そして、この間、宮本委員も何回かこの問題で留保を撤回すべきだというふうに指摘をしていただいておられたということに対しても、敬意を表したい」と答弁してから半年以上、1979年の条約批准から実に33年ぶりの快挙です。

 ぜひみなさんにお知らせください。 

高校無償化政策から時間がたった今だからこそできたのだろうし、民主党が大幅に議席を減らして野党に転落する可能性が高い今だからこそ意味がある。国際的に留保撤回を明言した後ならば、高校無償化政策をとりやめることは難しくなるだろう。
短期的な人気目的で思いつきのように敵を作っては攻撃している政治家が浮ついた支持や反発を集めている昨今*1、ちょっと良いニュースだ。

*1:もちろん、そういった政争ばかりが報道されやすいため目につくという側面もあるだろう。