法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第27話 ライジング・アポロドラゴン対メテオヴルム!

主人公の事情が『機動戦士Zガンダム』のアムロ・レイと完全に一致。そういえば両親の描写がないと思っていたら、まさか社会だけでなく親からも世界の敵あつかいされたとは。両親の具体的な描写が全くないことで、逆に重たい事情を想像させる。
現在の主人公達は精神的にも再起していて、カードバトルを通して自分のようになるなと後継者へ教える姿も熱かったが、冷めた目で見ると現実から空想の世界へ逃げたようにも感じられてしまう。まだ物語は折り返し地点だし、やがて主人公が現代へ戻って社会と相対する展開もあるのかもしれないが……

『スイートプリキュア♪』第7話 テッテケテ〜!音吉さんの秘密に迫るニャ♪

アバンタイトルの奏による独白からドラマが始まり、結末で今回の物語は奏がつけていた日記だったと明かされ、響と奏だけが理解できる懐中電灯のやりとりでしめくくられる構成も、良い意味で閉じた世界を描けている。今回の脚本は大野敏哉だが、初めてアニメらしくないところが全体的に良い効果をあげていたと思う。
中盤の日常描写がアクションで逆転する伏線になったり、そういうアニメ的なベタさも悪くなかった。


ただ、音吉の孫がアコという真相かと予想して、それならば前回に描写がさかれた意味が出てくるかもしれないと思ったが、そんな展開にはならなかった。
描写を見る限り音吉はプリキュア世界について何か知っているようだが、過去の『プリキュア』シリーズでは大人が異世界を知っていることが示唆されながら最終的に放置されることが多かったので*1、今後に真相が語られるとは期待しないでおこう。


演出的に面白かったのがテロップで時間経過を明示しながら話を進めていく趣向。時間ごとに区切って、響と奏の同じようでいて少しずつ変化していく関係性を描く*2
そして今回の作画監督はなまためやすひろが担当。かつて生田目康裕名義で、この枠における作画監督として活躍していたが、ひさしぶりの登板となる。しかし『WebNewtype』の番組表では奥山美佳作画監督の予定だった*3。『ふたりはプリキュア Splash☆Star』の中盤で生田目康裕といれかわるように奥山美佳が作画監督を始めた経緯や、絵柄が酷似していたことから、以前より同一人物の変名という噂があった。ほぼ今回で確定したと考えていいだろう。

*1:主人公の祖母が過去にプリキュアで、終盤で戦闘に参加したり敵に捕らわれたりした『ハートキャッチプリキュア!』が異例。初代の『ふたりはプリキュア』でも主人公の祖母が何かを知っているかのような描写があったが、何も語られずに終わった。

*2:演出は織本まき子担当だが、脚本段階で指示されていた可能性はある。

*3:http://anime.webnt.jp/programs/view/29

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第二十四話 ひが日死の巫女

長期コメディ作品が最終回近辺だけシリアスになるというパターンを思い出した。これまでも折にふれてシリアス展開を見せてきた作品だが、どんなピンチも主人公がその回の中で切り抜けてきたため、重たさを後に引きずってこなかった。
不安をかかえたままロボットへ搭乗する呼び声「アプリボワゼ!」とともに次回へ続く結末は、相対的に盛り上がる。絶望に満ちた次回予告映像も引きとしては充分。きちんと次回でまとまるのだろうかという不安、それ自体も最終回への興味を引く。
これまでなかなかのめりこめなかったが、最終回しだいで記憶に残る作品になってくれるかもしれない。

『ジャンパー』

TVで視聴。カットされていた日本での出来事を入れた特別編集版だが、それにとどまらずCM明けごとに登場人物がナレーションで解説する親切すぎる仕様に困惑した。主要登場人物ごとに出てくるテロップが名前だけならまだしも、作中の位置づけみたいな説明まで出てきて、視聴者を馬鹿にしているのか、途中から見ても話についていけるためなのか……思い入れがある作品でやられると激怒するレベル。


映画の前半までは『ドラえもん』でもよくある超常能力を手にして自分勝手に生きていたらしっぺ返しが来た、というありきたりなもの。しかしパラディンというジャンパー能力者を追う集団はしっぺ返しどころか、主人公よりえげつない行動を見せて、相対的に主人公側をまともに見せるという展開にいたる。つまり主人公の内面はそんなに変化していない。
ヒロインを助けて成長を描いたように見せているが、どう考えても主人公と周辺の設定を提示しただけで物語が続いていくだけだろ、と思ったら本当に戦いが続くオチ。パラディンの使っている機材にカタカナが使われていた理由も不明なまま。しかし調べてみたら三部作予定という話をインターネットで見つけて良くも悪くも納得した。


良かった探しをしておくと、小刻みに瞬間移動する格闘戦描写や、パラディンの攻撃で思い通りに瞬間移動できない場面のサスペンス性は悪くなかった。
あと、ネオンサインの輝く夜景にピントを合わせず撮影した日本描写は良かった。歓楽街ではなく高層ビルが林立する場所でもないのにカラフルにきらめく街並みは、けっこう日本独特の光景だったのかもしれない。