法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Yes!プリキュア5GoGo!』第48話 未来へ!永遠不滅のプリキュア5!

やるべきことを、とどこおりなくやりとげた最終回。
印象的だった敵にも救いを与え、きちんと個々人のドラマは決着した。ただ、前期から合わせて2年間になる物語で多数登場したキャラクター、その全てはフォローしていない。ドラマは完結しているとはいえ、ブンビーを救いつつ前期の同僚を復活させるなら今期のスコルプも一緒に復活させるとか、ところどころサービスしてほしかった部分もある。


細かいところでは、世界中の想いをメルポが手紙の形で届け、プリキュア達を復活させた展開が印象的。ありがちな展開であっても、作品らしさと独自性がある描写で説得力を上げていた。
板野サーカスのごとき空中戦や、球体のまま巨大化したホシイナーとの戦い、最終回特別版の合体必殺技、等々の多彩なアクション描写も良かった。
ただ、最終回は、その1話前より作画が劣るというTVアニメのジンクスがある。この最終回も、キャラクターデザインの川村敏江作画監督をつとめ、極めて整った映像ではあったものの、アクション作画は前回に比べると頭一つ落ちたかな。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#16 悲劇への序章

しばらく対人掃討作戦がなかったため登場しなかったオートマトンが、久しぶりに使用された話。テロリストを掃討するオートマトンが人質をも殺傷してしまうとか、その際の映像を加工してテロリストが人質を虐殺しているように見せるとか、色々と竹田プロデュースアニメらしい展開を見せてくれる。
オートマトンの投入を見越して人質に事実を知らせ、報道規制されても全員の口をふさげるわけがないと予想するクーデター首謀者の策謀は、その限界もふくめて悪くない。現実の同種事件複数を思い出させつつ、あまり嫌悪感が出ない描き方*1
そうして大状況がゆるやかに動く中、人質数万人が口封じで殺されそうな描写を積み重ね、物語は結末へ向けてじわじわと緊迫してくる。


一方で、全勢力が気にかけているのに、個人の因縁にとらわれて事態の蚊帳の外にいる主人公陣営はどうかと思った。
それでも、前回の流れを受けて主人公が自身を変革させようと決意する姿を、因縁にとらわれた敵との対立構図で描いたのはわかりやすい。個人的な因縁から脱しようとする主人公は、言及こそされなかったものの、前々回に明かされた真相を受けての成長でもあるだろう。


さて、今回の大規模戦闘は、3DCGで描画されたオートマトンと人間の戦いだったため、状況全体は珍しかったが、個別では印象に残る場面がない。
主人公とライバルの個人的な決闘は、高速で空中を縦横無尽に駆ける素晴らしい作画演出だったが*2、水入りになることが展開から予想できていたので物足りなかった。

*1:人間は騙されたことを認めたくないため、後から判明した真実を拒絶することが多く、あまり現実では効果を上げないだろう。

*2:おそらく原画は鈴木卓也

『Mr.インクレディブル』

〜3DCG制作映像はアニメカテゴリで良いのかどうか〜
今さらなくらいなTV放映を録画したものを、今さら視聴。今さら感想を書く意味もないくらい、つっこみにくいほど話がまとまっていて、3DCGの特性を活用した映像も楽しめる、出来のいい映画。
ただ、同スタッフの前作映画『アイアンジャイアント』もそうだったが、敵が愚かで矮小な存在だったため、倒されても個人的には爽快感がなかった。スーパーヒーローを大量殺戮した憎むべき敵ということもわかるが、その殺戮はあまりの幼さゆえ引き起こされたものでもあり、日本のヒーロー物なら命だけは助けようとしそうだ。もちろん同情するほどではないし、その幼さがスーパーヒーローの存在に対して批評的に機能していることもわかるし、中盤のバカバカしい前ふりから自業自得な最期をとげた場面は苦笑もできたのだが。
あと、キャラクターを印象づけるには効果的でも、やはりスーパーヒーローの能力として透明化は扱いにくいことも印象的だった。……色んな制作者が試してみては、たいてい使い切れないまま終わるんだよな。手間がかかるわりに映像は地味になりがちだし。