法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

2017年に成立した文在寅政権が、同年に公開された映画『1987、ある闘いの真実』を作らせたと、元駐韓大使の武藤正敏氏が語っていたらしい

私自身は視聴していなかったが、日本テレビ系のワイドショー「ミヤネ屋」の9月12日分で発言したという。

番組情報の書き起こしをしているサイトでも、映画がとりあげられたこと、武藤氏がコメントしたことは確認できる。
韓国最新・支持集める検察改革・背景に大ヒット映画!? 日本テレビ【情報ライブ ミヤネ屋】|JCCテレビすべて

文在寅大統領も「少しずつ努力を積み重ねることで、世の中は変えられるということをこの映画で学んだ」とコメントしている。
映画に登場する拷問を受けて死亡した学生は釜山出身で、チョ法相の高校・大学の後輩で親友だった。
元在韓大使・武藤正敏が生解説。

元大使といっても、下記のようなタイトルの著作を出していることを見ても、もともとコメンテイターとして重用すべき人物とは思えないが。

日韓対立の真相

日韓対立の真相

韓国人に生まれなくてよかった

韓国人に生まれなくてよかった


まず時系列をふりかえると、朴槿恵退陣により文在寅政権が成立したのは5月のことで、映画が公開されたのは12月のこと。
ちなみに1954年版の『ゴジラ』は、3月の第五福竜丸事件を受けて企画がまとまり、11月に公開された。そういう以前から企画が動いていたような特殊な事例ならば存在する。
しかし韓国映画は日本映画よりも一般的に制作に時間をかけることで知られており、『1987、ある闘いの真実』が企画の立ち上げから完成まで短時間でこぎつけられるとは思えない。
1987arutatakai-movie.com

www.youtube.com

そもそも作品が企画されたのは2015年のことだとチャン・ジュンファン監督のインタビューにもある。
globe.asahi.com

2013年に初の女性大統領として就任した朴槿恵は、批判を封じ込める強権的な政治手法をとった。チャン監督が今作を撮ろうと考えたのは、その朴槿恵の任期中の2015年冬。

当時は朴槿恵の一連の疑惑もまだ明るみになっておらず、退陣を求めて大勢の人々が立ち上がった2016年10月からの「ろうそく集会」で韓国社会の雰囲気が大きく変わる以前でもある。当時の政権は「政府の政策に協力的ではない文化人」をブラックリストに掲載したりもしていた。このリストにはソン・ガンホも入っていたことが後にわかっている。

キャスティングが終了したと日本で報道されたのは2017年4月のことで、韓国では3月の段階で報じられていた。どちらにしても文在寅政権が誕生する以前だ。
www.wowkorea.jp
hajungwoo4.exblog.jp
また、俳優へのキャスティング依頼を伝える日本の報道が2016年12月に存在する。朴槿恵弾劾直後ではあるが、次期大統領が文在寅になると決定などしていない時期だ。
news.kstyle.com

『スター☆トゥインクルプリキュア』第32話 重なる想い☆新たなイマジネーションの力

スターカラーペンがそろい、フワが小さなユニコーンのように成長。そしてガルオウガとの再戦が始まる……


今回も村山功シリーズ構成が脚本で、高橋晃キャラクターデザインが作画監督。メインスタッフが入っているわけだが、イベントを消化するだけの繋ぎ回という印象。
主に敵幹部の過去を描いて、そこからくる願いがプリキュアの新必殺技で崩されるというかたちで、今回のドラマの重心は敵にある。それに対してプリキュアが語る戦う理由が、フワを守るためというだけなのが、ちょっとフワッとしすぎていた感はあった。
もちろんこれまで星奈たちがフワと仲良くしていた場面は回想された。キュアコスモが奪うことを批判して、ガルオウガが怪盗にいわれたくないと反論したのも、細かいところを忘れてなくて良かった。しかしそもそもフワはこれまで争奪戦で優先されず、あまり敵の攻撃で危機におちいったことがない。フワを守るという意味での積み重ねがないのだ。
逆に敵幹部側の事情は積み重ねがあったものの、これまで小出しにしてきた情報を確定させるくらいで終わった。次なる争奪対象を示すだけでなく、もう少し意外な新情報がほしかったところ。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界の腹ペコさん&まさかの"食"スペシャル

かなり珍しい料理テーマ回。


「200万カロリービュッフェ」は、イギリスの食べ放題店で、原価を取ろうと挑戦する男たちと、利益を出すための店側の工夫を見せる。
よほどのことがなければ原価割れすることはないことも、できるだけ元を取るには高額な単品のみを食べつづけるのが良いことも、日本の食べ放題番組で見た記憶がある。炭水化物やスープ、ドリンクで満腹にさせようとする手法も一般的だろう。
ただキャベツを細く切って油で揚げて味付けした海藻風の料理が、そのビッフェで最も原価が安いというのは興味深かった。自称食べ放題のプロは喜んで食べていたくらい美味しいようだし、くわしいレシピを知りたいところ。
「食料品ゲーム」は、巨大スーパーマーケットの中にある食材や調味料のみを使って、テーマにそった料理の完成度を競うコンテスト。
イメージとして日本のTV番組でいうと『TVチャンピオン』に近いだろうか。得意料理が異なる各料理人が、ありふれた食材に一工夫を加えて美味しそうな料理を作りあげる光景は素直に楽しい。身近な空間だからこそ、工夫に使う素材やアイデアが一般人の手がとどきそうなところも良かった。
もちろんスーパーマーケットの宣伝でもあろうが、日本で同種の番組をやっても楽しそう。ひとつの料理くらいならコンビニくらい制限を厳しくしてもいけるかな*1
「中国、肥満との闘い」は、肥満が社会問題化している中国で、子供たちを痩せさせる訓練をする施設を紹介。
一昔前には欧米から紹介されていたような番組が、今では中国で作られている。こういうところに時代の変化を感じるが、あまり中国ならではという独自性を感じにくかった。一人っ子政策の残滓たる小皇帝が肥満児を作る背景でうかがえるくらい?

*1:そういえばフィクションでは漫画『食戟のソーマ』でやっていたか。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第31話 守り抜け!最後のプリンセスのペン☆

地球に帰ってきた宇宙船を追いかけ、星空連合の巨大宇宙艦が登場。現れたトッパーは手続き問題を処理した後、プリキュアに星空連合への加盟を求める……


今回も連続して村山功シリーズ構成の脚本で、前回までの異星人側の羽衣のドラマを終えて*1、そうした異星の社会機構に星奈が組みこまれるドラマを展開。
組織に組みこまれることを求めるトッパーだけでなく、ほぼ初めて前線へやってきた敵幹部ガルオウガとも、星奈はひとりで対峙する。プリキュアでも最も子供な主人公が大人の論理に向きあうこと、それだけでも緊張感が生まれて物語がドラマチックになる。
基本的に終盤にならないと正体を明かさないシリーズにおいて、この段階で戦う戦士として求められるあたり、地球と異星の両方を舞台とした今作ならではともいえるだろう。同じ村山シリーズ構成の『魔法つかいプリキュア!』も似た構図はあったが、主人公たちは自身の幸福を最優先にしてブレなかったので、戦う力を持つ者の責任を求めるようなドラマにはならなかった。


近年は劇場での仕事が多い爲我井克美の作画監督で、絵がよく整っている。ちょいちょい入るデフォルメ表情もラフな手描きの味があって良い。
しかし何よりも、プリキュアの仲間たちが参戦した時のアクション作画が、独特のタイミングと描線のフォルムで目を引いた。志田直俊よりも線が荒々しく、山下将仁やいまざきいつきを思い出させる、金田伊功フォロワーの作画のようだ。クレジットされているスタッフを見ても、誰の仕事がよくわからないのだが……
スタートゥインクルプリキュア 31話 感想 全力考察 プリキュアは全宇宙を守る責任があるのか - 金色の昼下がり

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*1:アブラハム監督が、より辺境の星に飛ばされることを嫌がる台詞から、地球を辺境あつかいしていることが地味にわかるのが進んだ文明をもつ異星人らしくて面白い。

安倍晋三「ウラジーミル、二人の力で、加計て、加計、加計抜けよう」

北方領土交渉が完全に暗礁に乗りあげながら、プーチン大統領に対する安倍首相の呼びかけが奇妙に友好的にすぎると話題になっていた。
令和元年9月5日 東方経済フォーラム全体会合 安倍総理スピーチ | 令和元年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

日露の新しい協力関係は、我々二人の努力によって、着実に、その姿を見せつつあります。そしてその先に、平和条約の締結という歴史的使命がある。未来を生きる人々を、これ以上、もう待たせてはならない。ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。歴史に対する責任を、互いに果たしてまいりましょう。平和条約を結び、両国国民が持つ無限の可能性を、一気に解き放ちましょう。

なぜ「走り抜けよう」という表現にしなかったのかと思ったが、スピーチライターをつとめる谷口智彦氏の雑誌への寄稿で、似た表現が使われていたという指摘があった。

月刊Hanada2018年11月号 [雑誌]

たとえこれが原型でなくても、寄稿している雑誌の質そのものが、大いに問題であるといわざるをえないが。そこに官房長官菅義偉氏まで寄稿していることも暗澹とさせられる。


ちなみに、谷口氏の寄稿と同時期に、朝鮮半島をめぐる協議でロシアが日本を外しているという報道もあった。
朝鮮半島問題、5カ国協議の必要性で一致=ロシア - ロイター

ロシア外務省は10日、朝鮮半島の緊張緩和のため、米国と韓国を交えた5カ国協議が必要だとの認識でロシア、中国、北朝鮮が一致したことを明らかにした。

今になって思うと、G7直後の米朝会談を日本が知らされていなかったことや、その後から米韓が衝突しても日本は存在感を示せないように見えることの、伏線だったようにも感じられる。
この報道は安倍氏の中ではどう処理されているのだろうか。


そもそもプーチン大統領は、上記の報道や北方領土に限らず、日本に対して極めて冷淡かつ強請にふるまっているように見える。よく日本との対立が報じられる文在寅大統領などと比べても。
もともと国家としても対立をつづけた歴史が長く、共産主義を捨てても全体主義に戻っているロシア。それに対して、なぜ安倍氏は無条件なまでに友好的にふるまい、それを批判するメディアが少ないのだろうか。