奥浩哉のSFデスゲーム漫画を、GONZO制作で板野一郎監督が2004年にTVアニメ化。原作はまばらに読んだだけだが、デスゲーム部分を抽出した実写映画*1や3DCG映画*2は映像作品としては楽しめた。
 連載初期のTVアニメ化で、ほぼ実写映画1作目と同じ範囲を映像化しつつ、終盤だけデスゲームのジャンルを変えたオリジナルストーリーで結末をむかえた。
プロデューサーインタビューによると、もともと松竹からもちかけられた企画だという。当初はCS放送の全6話くらいのOVAを想定していたが、最終的に2クールのTVアニメとなり、前半だけ地上波で規制し短縮したうえで放送された。
 実写映画版と同じくガンツの正体についての謎解きはなく、生と死のあわいのなかで主人公が成長する観念的なドラマとして進んでいく。幻覚的な描写が初期から複数あるのと、発端の舞台にすべてが集約して終わるので、まともな結末や真相開示が少ないデスゲーム作品としては比較的に悪くない最終回のような気はした。
 板野一郎監督だがキャッチコピー的な板野サーカス描写はない。むしろ銃火器はSF的な設定でありながら弾道はいっさい描写されず、ストロボのように発光して少し遅れて破壊される描写を徹底している。どちらかといえば板野監督のOVA時代のエログロ描写を思い出させるつくり。
 駅舎や市街地や寺を3DCGで組んで*3、空間を立体的に把握しつつカメラワークをつけているが、板野監督の意図はレイアウトが描けるスタッフが少ないがゆえのフォローが主目的らしい。
 しかし当時はまだ珍しい全編ビスタサイズなのに時代を考慮しても描線が太くて、あまり良好な作画とはいいがたい。メインスタッフに明らかな偽名が散見されるので、あまり制作状況が良くなさそうな気配もある。
 そのなかでは、うのまこと作画監督回は原作の絵柄を思わせる立体的なキャラクター作画が見られたのと、石川健介作画監督の原作から最も絵柄がはなれた第18話が流麗なアニメらしいキャラクター作画が楽しめたところは良かった。
 アクション作画では鈴木信吾がコンテを担当した第24話が白眉。そもそも終盤はDVD向けに修正がいきとどいているのか、第25話も第26話も悪くなかった。
*1:『GANTZ PERFECT ANSWER』 - 法華狼の日記
*3:3DCGスタッフのインタビューによると、原作者からモデルを提供してもらい、アニメの背景スタッフがテクスチャを描いて組みあわせたという。
