二十年前に存在しない駅から異世界に迷いこんだ少女が、救出者により当時と同じ姿で帰還した。その少女の語る異世界の出来事と、少女に向けられる好奇の視線、そして救出者の隠された背景を取材したドキュメンタリは、直前で放送中止になった。そこで少女はひとり救出者のために異世界へ行くが……
匿名掲示板のショートホラーの映画化から独自の続編として作られ、2025年6月に公開された日本映画。早くもプライムビデオ見放題になっている。監督は永江二朗が続投。
フェイクドキュメンタリーの前半と、異世界アクションの後半という二部構成で、インターネット怪談そのものではなく、インターネット怪談にまどわされる人々を低予算なりに工夫して描く。
まず前作*1で驚かされた犠牲者の道具化を、ここまでテンポ良く、アクションとしても見ごたえがある描写にしあげてくるとは予想外。あまりのすごさに中盤は笑いどおしだった。
いわゆる死に戻りで異世界からの帰還を目指すが、チーム戦にすることで試行錯誤を多彩にしやすくテンポが良い。最後の強敵までは生存できるようになってプロフェッショナルな雰囲気がただよいだすあたりも笑える。
最後は誰もが利己的に他人を蹴落とそうとしていたのを、死に続けることで逆に根性が座ったように利他的な精神に目ざめていく展開も意外な説得力がある。
残念ながら終盤で打つ手がなくなる局面は伏線不足だし、そこから悩む場面は動きを止めているわりに長すぎて、せっかくのテンポの良さが薄れた感はある。一応、発見される打つ手はたしかに試していないことだが、良くも悪くも最初に検討すべき選択肢でもあるとは思う。その選択肢につながる情景描写が微妙に「打つ手」に似ているので、それが当初からの意図的な演出なら伏線ではあるとも思うが。
しかし全ての印象が結末に上書きされた。どんでん返しが予想外の角度で、かつ前作がそれなりの評判を集めた結果だろうリソース確保によるスケールの大きさで展開される。なかなか意外で描写としても派手で楽しい。そして回想される台詞のひとつひとつ、背景のひとつひとつが伏線となって重層的に説得力を高めている。けっこう本気でどんでん返し映画の上位にくる結末だとすら思った。
