女子高生の四谷みこは、のん気な友人の百合川ハナと平凡な生活を送っているはずだった。しかし通学路で、自宅で、奇妙な人間を目撃するようになる。どうやらそれは幽霊のたぐいらしい。
反応すると幽霊がついてきてしまうため、四谷は平凡な生活を送っているふりをするしかない。しかし霊能力をつかえる別クラスの二暮堂ユリアと出会い、文化祭に向かう日々のなかで、四谷は恐怖に直面せざるをえなくなる……
ホラー漫画を原作とする、2025年6月に公開された日本映画で、早くもプライムビデオで見放題になっている。『残穢 住んではいけない部屋』の中村義洋が監督脚本をつとめた。
泉朝樹による原作はKADOKAWAのインターネット障害が起きるまでは連載を追っていた。
もともとはSNSでバズッた一発ネタ漫画だが*1、他の霊能力者や除霊バトルを組みこんで長期連載化。そこから学校要素と親子のゴーストストーリーを抽出して一本の映画にまとめている。
実のところ原作の最大の売りは完全に欠落。登場するのは俳優を半透明の青い色彩で合成した幽霊ばかり。ビジュアルだけで凶悪で醜悪と感じさせるクリーチャーが主人公にしか見えない原作の恐怖がまったく存在しない。それなりにホラー映画を見てきて慣れてきたとはいえ、そこそこ予算をつかった作品でありながら『リゾートバイト』*2等とくらべて怖くないところが厳しい。せめて中途半端にVFXを使わず、別の要素で幽霊とわかる描写にしたほうが怖さがあったと思う。
かわりに主人公に見えているものが本当の人間か悪霊なのか区別しづらい要素を抽出して、ちょっとしたトリックをしかけている。少し設定を改変して構成に工夫を足しているので、原作を途中まで読んで把握した設定から予想しつつも少し驚いた。ちゃんと教室の描写で違和感を演出して伏線にしたてて、原作とも違うスケールの大きな驚きが最後にあるので、ホラー映画としては不満が残るものの印象は悪くない。
*1:ただ、連載を視野に入れて意図的にバズるように描いたらしい。

