法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season24』第3話 警察官B

 長身の眼鏡の男が高田創に刃物をつきつけて、特命係をはじめとした警官たちの前にあらわれる。そこから時間を少しさかのぼり、特命係に再会した高田は、ようやく交番勤務から刑事になれたが望んだような相棒がまだいないと語る。そこに女性が殺害されたという情報が入ってくる。女性は元警察官で、以前に逮捕した男に逆恨みされて危険になったため辞めたらしいが、他に言い寄ってくる男がいたらしい……



 徳永富彦脚本で、さまざまな男の身勝手な感情に生活をおびやかされて命までうばわれた女性の事件解決をへて、かつて社会から存在しないようにあつかわれた少年が他者とつながるまでを描く。
『相棒 season23』第1話 警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者 - 法華狼の日記
 ミステリらしくできるアイデアを無駄にしている前回*1と正反対で、特に斬新なアイデアはなくても時系列の操作などでトリッキーなサスペンスとして楽しませてくれた。


 まず、服についたチョークなどの遺留品から被害者の足跡をたどったり、自動販売機の上で手つかずの缶を公衆電話につかう小銭目的の購入と考えて高身長と推測したり、厳密ではないが刑事ドラマなりに面白い推理がいくつかある。
 そこかから特命係が出会っていく元上司や、知りあいらしい眼鏡の刑事、現在の婚約者らしい粗暴な男など、被害者にかかわる男はどれも怪しくて誰が犯人でも意外性はないが……特命係が犯人をつかまえるためにトリックをしかけるところで視聴者をも騙そうとする努力は悪くないし、何よりそのトリックにより冒頭の描写が意味不明になることが逆に物語を謎めかせていく。
 実のところ、犯人をつかまえるトリックも冒頭の描写も予想の範囲内ではあったが、1時間枠の刑事ドラマで状況が二転三転するので飽きさせなかった。


 映像でも、警察官時代の被害者が路地裏で塗料をぶちまけるような大捕物を演じるところが目を引いた。そのアクションで熱血警官らしく印象づけたことが、隠された心情を強調するドラマにおける必然性もある。
 一昔前の刑事ドラマならば賞賛されただろう言動の問題点を描いたことで、意外と現代的な社会派ドラマのおもむきすらあった。あくまでエンタメに厚みを足すくらいの重みではあるが。