猫屋敷まゆが出かける準備をしている。犬飼いろはに、アニマルタウンのあちこちで動物の子供がうまれているので見に行こうとさそわれたのだ。ユキを家にのこして、まゆは赤ちゃんツアーを楽しむが……
井上美緒脚本、上田華子演出に爲我井克美作画監督。キュアニャミーを描くにあたって頭身高めの爲我井作画はよくあっているが、今回は何よりもコンテの面白さが印象にのこった。
序盤からまゆの主観視点を多用し、今回はまゆのドラマと印象づける。極端なパースで遠近を強調して、画面奥と手前を行き来するカメラワークをつけ、3人いるメインキャラクターで今は誰に注目すべきかサイズの大きさで表現しつつ、街歩きで描かれる舞台の奥行きも描く。キュアニャミーのアクションは竹林をつかった殺陣のアイデアが光る。
アニメーター出身で*1、最近は『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』で副監督をつとめた上田だが、おそらく東映作品には初参加。それでここまで面白い絵をつくりつつ、シリーズディレクターの調節があるにしても作品から浮きすぎていない。
キュアニャミーの初変身および初の本格的バトル回ゆえ、映像リソースにいつもより余裕がありそうで、それが演出の選択肢を増やしたのかもしれない。アクションシーンだけでなく、リスの赤ちゃんを見る場面でまで背景動画をつかうような余裕は東映アニメーションでは珍しい。
物語は動物の親子から保護したい心情のドラマにつなげて、既存プリキュアと新プリキュアの対立をシンプルに見せる。
ただ、いくら前半にカルガモの親子を見て言葉で説明もしていたとはいえ、プリキュアとガルガルの戦いのなかでいきなり道路をカルガモが横切って、まゆが助けようとする展開には無理を感じた。同じ公園といっても広いし、のんきな絵面がシュール。
登場時のガルガルがカルガモにおそいかかる描写をするなど、ワンクッションはさんで戦地に第三者がまぎれこむ説得力を出してほしかった。
*1:今回の原画にもクレジットされている。