特命係のところへ、インターネットで流れている謎の配信動画がもちこまれた。視聴してみると、マッターホルン登頂を目指している男がテント内で自撮りしており、そこに何者かがおとずれて、いったん外に出た男が頭から血を流してテント内で倒れるまでが映っていた。特命係が調べると、男は芸能事務所で下働きをしていたようだが……
川崎龍太脚本で、いくつもの嘘で夢に狂い狂わされる大人たちと子供たちの奇妙な事件を描く。その中心にいる冴えない男の顛末のドラマとして楽しめた。
マッターホルンで何者かに殺されるという完全犯罪という導入だが、まともに特命係はとりあわないし、実際にすぐ配信の真相をあばいていく。いくつかの可能性を考えた範囲内におさまったので驚きはなかったが、しかし一般の刑事ドラマでこの虚実いりまじる情景を見られたことは楽しい。
いくらなんでも男が愚かに被害をうけてばかりだが、そういうドジなキャラクターということは捜査中に言及されるので納得できる。このドラマシリーズはオチをつけるため被害者を無駄にひどい目にあわせすぎとも思ってきたが、今回は物語にあわせた被害の重さにとどめていたことも良かった。虚実がいりまじるストーリーにもあっている。