法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season21』第3話 逃亡者 亀山薫

死体の前で、亀山薫が血染めのナイフをもって立ちつくしていた。逃亡する亀山について杉下たちがさぐっていくと、どうやら恩人が四年前に死んだ真相を亀山が調べていたらしいとわかるが……


川崎龍太脚本。再放送をくりかえしているとはいえ、数年ぶりに復帰した亀山のキャラクターを説明するエピソードであると同時に、今シーズンの雰囲気をつたえるエピソードでもあるのだろう。
監督は橋本一。基本的には普通の日本の刑事ドラマだが、逃亡中の亀山が工事現場で格闘する場面でセットを格闘用に作りこんでいたところが目を引いた。世界に通用するアクションとまではいえないが、それなりに時代にあわせて進んでいると感じさせた。


サスペンスとしての真相はわかりやすい。警察の会議でいかにも怪しげな男が参加しているかと思えば、その男羽柴が恩人の死にかかわっている情報をすぐ明かして、さらに薬の横流しをしうるプロフィールを中盤に早々と明らかにすることで、逆に羽柴はミスディレクションと気づくことは難しくない。そこから恩人こそが犯罪に手を染めていたという真相も、一話完結1時間ドラマの人間関係から誰でも想定できるだろう。
どちらかといえば、羽柴と特命係が対峙するドラマを終盤にたっぷり描いて、ただのミスディレクションと思われたプロフィールを恩人と重ねることで、今回かぎりのゲストキャラクターを関係性から深めてみせたことが良かったかな。偶然を偶然で終わらせないことでドラマが生まれる。