法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第46話 ヒーローたちのクリスマス

 スカイランドの街を守るためのバリアが完成し、人々が逃げこんでくる。ソラシド市におけるクリスマスのようなお祝いができない状況と話していると、スカイランドにもスリクマスという似た習慣があることがわかる……


 伊藤睦美脚本、篠原花奈演出、宮谷里沙と上田由希子の共同作画監督で、メインスタッフすべてが女性。東映アニメーションにも問題は多々あるが、これができる体制になっていることは素晴らしい。
 映像面では、逃げてくる人々を俯瞰で見おろしている序盤のカットが興味深かった。豆粒のような人々を小刻みにスライド移動させ、歩いているように見せている。近年に定着した3DCGモブとくらべるとスライドしているだけに見えないし、小刻みすぎて効果的と思えなかったが、制作リソースが足りない作品なりに工夫している。
 物語面では、敵におびやかされて人々が苦しい状況だからこそ、パーティーを開こうと主張するエルが良かった。満たされて育った王女らしい傲慢さを感じさせつつ、その力強さが人々を前向きにひっぱることとなる。そこからパーティーの飾りつけをする情景には、戦時下のガザでクリスマスを祝えない苦しみをいやおうなく思い出した。
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 そこから日常のちょっとしたトラブル解決のためプリキュアに変身する迷いのなさはこの作品らしいが、ひとりを拘束するレベルの「いじわるトルネード」なる特殊な気象に合体攻撃で対処するのは、プリキュアの強さがスケールダウンして見える。逃げてくる人々を守るための戦いを前半に描いて、後半にプレゼント配りを助けるため再変身するような、ベタなパターンで良かったのでは。
 そして最後にふたりきりでプレゼントをわたしあうハレワタールと虹ヶ丘で、ここのところ他に興味がむかっていたふたりが向きあう。こういうシーンはもうちょっとふたりの関係を重視した前半で見たかったものの、悪くなかった。