エルをひとり部屋に残してミルクをつくってきたハレワタールは、異変に気づく。つかまり立ちができるようになってオモチャを取ったのかとも思えたが、誰かの気配もあった。そして謎の少年がふたたびエルの前に姿をあらわす……
脚本は金月龍之介シリーズ構成。これまでOPEDで描かれてきた少年プリキュアが、ハレワタールの来訪以前から現世に来ていたという時系列が明かされる。その理由として、虹ヶ丘家の周辺にスカイランドとの通路が開きやすいと語られる。別脚本家が担当した第3話での*1、スカイジュエルという特殊な宝石が裏山にあるという空想的な設定が、ここにきて説明づけられるとは思わなかった。
しかしハレワタールが劇中でツッコミを入れているように、そうした説明はもっと前にやっても良かったのではないだろうか。少年が自身の存在を秘密にしたい心情はドラマとして理解できるかたちになっているが、スカイジュエルなどはそうした動機がないのに虹ヶ丘祖母が秘密にする意味が読めない。今回のように隠された真相が語られる回がいずれ来るかもしれないが、それでもできるだけ情報を知っておきたいと思うのがハレワタールの立場だろう。
ただ、言葉をあらげて少年を批判するハレワタールの幼い態度が、新鮮で良かった感じはある。制作者が重視しているであろう保護者の感想は違うかもしれないが、ヒーローを自認し目指しながら未熟なハレワタールのキャラクターは、未熟さが学業など人格以外であらわれがちなプリキュアでは珍しい。異世界人なのに等身大。
そして、そのように未熟なハレワタールだからこそ、飛べない鳥の種族でありながら飛ぼうとする少年ツバサに共感し、謝罪することができた。そんなツバサから遠いところに敵を登場させて飛ぶべき動機を強くして、本格的な戦闘を次回にもちこしたり、初のレギュラー少年プリキュアの誕生をていねいに準備しようとする意図は感じられる。
作画監督は上野ケン。周囲に不信感をむけるハレワタールの微妙な表情を、適度なデフォルメで不快感なく作画できていた。カバトンの動きに残像が作画されていたり、逃げる群衆をリピートせず異なる服装で動かしていたり、アクション面も充実。