法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第45話 アンダーグ帝国の優しい少女

 アンダーグ帝国は敵に滅ぼされる恐怖からスカイランドへ侵攻していた。そこでカイゼリン・アンダーグは父親カイザー・アンダーグを説得して、プリンセス・エルレインと和平交渉をしようとする。交渉が進んで前向きに復旧していくスカイランド。しかし和平と称してエルレインを呼びだしたカイザーは、その隙にスキアヘッドがスカイランドを襲撃していることを教え、戦いを呼び起こす……


 前回*1につづいて金月龍之介シリーズ構成の脚本に、横内一樹の演出で、寓話的な戦争のドラマを描く。
 おそらく今回限りのキュアノーブルの必殺技や、ソラ・ハレワタールが生身で岩をくだく『北斗の拳』パロディ、虹ヶ丘と協力してプリキュアに変身できないまま敵を攻略する戦いなど、映像の見せ場がちらばっていてTVアニメとして楽しい。


 ストーリーでは、重要人物でもひとりだけで交渉が成功するわけではなく、身内をも裏切る展開を入れながら絶望に飲みこまれまいとする実直なドラマに感心した。
 そもそも敵首領がなぜ対話して和平をもとめる少女から冷酷な侵略者になったかを描くとばかり思っていたため、献身的に戦いを止めることで和平を達成する展開になったこと自体に驚いた。そしてそのままオーソドックスなドラマとして完結している。タイムパラドックスが発生するわけでも、過去の幻影だから操作できたわけでもないらしく、戦いを止めた時の傷は現在まで残っているし、なぜ現在のようになったかという謎は次回以降にもちこし。
 前回の感想でも書いたことだが、今回とあわせた前日譚はシリーズ中盤くらいに配置して、プリキュアと視聴者に敵への興味をもたせるよう機能させるべきだったのではないか。いや現状でも敵のキャラクターに興味はわいてきたが、次回はさっそく本筋と関係ないクリスマス回のようだし、最終回が近いので謎をめぐって考える時間も残されていない。もったいない。