法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season19』第10話 超・新生

贋作販売で自首した画商に対して、被害届が出ていないからと警察はとりあわなかった。直後、画商は自殺する。
そして画商の周辺を捜査すると、贋作流通にかかわっている暴力団と半グレの抗争が浮かびあがってきた……


シリーズのメインライターをつとめてきた輿水泰弘脚本と、劇場レベルで映像をつくりこむ橋本一演出で、暴力団と内村のコネクションの新展開を描く。
被害者が納得していれば詐欺は成立しないことや、自首しても警察が必ずとりあうわけではないことは着眼点として面白かったし、そこから犯罪関係者が緊急避難できないという展開は悪くない*1。ふたつの勢力の抗争と警察の大捕物を、新型コロナ禍において多数のエキストラとスタントマンを使って描写したことも目を引いた。
放送局が異なる人気ドラマの決め台詞を引いた会話も、なかなか冒険したギャグで楽しかった。


しかし事件の収拾が力押しだけで終わって何のひねりもなく、メインキャラクターの人格を変貌させた設定が次回以降もつづくというオチは、さすがにどうかと思った……
いくら予告であおったメインスタッフ回とはいえ、内村刑事部長が殉職するとも辞職するとも思わなかったが、かといって人間として新生するエピソードとは予想できない。
頭部の損傷から人格が変わることはありうるし、近所の出来事として現実にも知っているが、小説より奇なる事実をそのまま出されても困惑するしかない。

*1:暴力団とかかわっているのだから自首できなくても保護を求めることが普通ならできるだろうし、内村と暴力団の関係からそれがかなわなかったという説明は必要だと思ったが。