テレビにうつった結婚式を見て、エルも結婚式をしたがる。その相手は夕凪ツバサ。てっきり結婚式ごっこを楽しみたいのだろうと、ソラ・ハレワタールたちは実際にそれらしいイベントを開催して記念写真も撮るが……
伊藤睦美脚本で、たまたま同日の『王様戦隊キングオージャー』と同じく結婚式をおこないたがるワガママな姫と側近の絆をちがったかたちで描く。
以前のエルは、言葉をつかえない赤子でありながらコミュニケーションに支障はなく、浮遊してひとりで移動もできて手がかからなかった。しかし言葉を話して欲求を周囲につたえられるようになってから、プリンセスらしい全能感に満ちた傲慢さで周囲をふりまわすようになり、逆に赤子らしいキャラクターになってきた。
今回のエルは、ひとり勉強する夕凪を独占欲から拘束しようとして、きちんとドラマが目的をもって動く。ヒーローの一員であるはずのキャラクターが一方的な欲求を押しとおす内容は見ていてストレスがかかるが、視聴して心が動かされる良さがあった。何の目的も語らずに攻撃をしかけて負けて撤退する敵幹部スキアヘッドのつまらなさと対照的。
映像面では小村敏明コンテに岩井隆央演出、上野ケン作画監督というベテランの布陣。上野ケン作画監督らしく全体をとおして絵がかわいらしく、聖が夕凪を鼓舞する場面からプリキュアとしてのアクションまではキャラクターが全身をつかってよく動き、空中に自在に攻撃の手をのばす敵怪物のアニメーションともども見ごたえあった。
