「どんぶらガス」は、のび太たちはジャイアンが寝ていることに気づかず空き地でボール遊びをして追いだされる。公園に行ってもボール遊びできるような余裕はなく、ドラえもんの助けを借りて……
中期原作を2005年リニューアル以降に初アニメ化。田中薫作画監督でアニメーションは良好。
原作ではジャイアンが寝るためにやってきて追いだされるが、今回のアニメではジャイアンが先に寝ているという謎のアレンジがされた。近景のジャイアンと遠景ののび太たちの距離をピン送りで表現しているが、それでもジャイアンに気づかないことは不自然だと思わざるをえない。中盤に安雄たちが遊びに来た場面のようにすぐ気づくべきだろう。土管前で寝ているジャイアンに気をつけながら遊んでも同じ展開にできただろうし、どうしても存在に気づかせたくないならジャイアンが段ボールなどで日陰をつくっていたので姿が見えなかったと描写してもいい。
そうして導入に無駄な引っかかりはおぼえたものの、地中から見上げる世界の面白さは楽しめた。モグラとの出会いでネズミかと思っておびえるドラえもんがかわいい。逃げ去るジャイアンの足裏がきちんと汚れている珍しい描写もあった。
「のび太のヘリコプター」は、ヘリコプターに乗ったスネ夫に自慢され、のび太は対抗意識をもつ。もちろんドラえもんはタケコプターを提案するが、のび太は納得できない……
中期原作を2005年リニューアル以降に善聡一郎コンテで初アニメ化。
予告映像でも主観視点のため路地を3DCGで表現していることはわかったが、よく見るとヘリコプターも3DCGで描画している。スネ夫に撃墜される場面もふくめて、手描き作画との違和感が出ないよう自然にこなしていて良かった。
屋根のつらなりなど、3DCGを用意できていない部分もレイヤーわけして奥行きが表現され、飛翔感のある主観映像が楽しめる。のび太とドラえもんの背後の巨大モニターに、ヘリコプターが映したのび太の巨大な顔面が映るカットなども楽しい。
ストーリーとしては良くも悪くもドローンで完全に現実化してSF性はうすれたし、スネ夫が秘密道具を壊そうとする局面は長すぎたが、映像作品としては楽しくしあがっていた。