岩田洋季のライトノベルを原作とするTVアニメ。2006年から半年にわたって放映された。
このキャラクターデザインで暴力ヒロインなところが珍しい。意外とハーレムアニメでもなく、ごく一部に秘めた想いがないわけではないが、生徒会全員が主人公カップルを応援するだけで2クールもつかっている。
途中から登場する主人公より背が低い数少ない少女も、恋心を自覚した時点で負けを認めており、いわゆるヒロインレースのニュアンスが存在しない。岡田麿里シリーズ構成など、『とらドラ!』の流れをねらったTVアニメなのかもしれない。
現代異能アクションとしては、川崎監督らしい倫理観の高さが感じられた。もちろん組織の陰謀も人類の愚行も描かれ、それによる世界レベルの危機も発生するのだが、それにかかわる人々の善良さの平均値が高い。ある種類の安心感がある。
原作挿絵を担当した佐藤利幸はデフォルメされたアクションが得意なアニメーターでもあるが、クレジットから判断するかぎりは本編には参加していないし、実際に作画のニュアンスが違う。パンチラは多いが作画が安っぽくてエロティックさを感じない。かわりに田中宏紀が定期的に原画で参加しているが、意外と暴れていないためか見どころが少ない。どちらかといえば第20話の神崎貴臣コンテ演出回が、描線が細くてED絵のような整った印象になっていたことがおもしろかった。