法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』なんでもアイス棒/決心コンクリート

アニメオリジナルの前半と、原作を微妙に改変した後半と。来年の映画情報もあり、部分的に映像が解禁された。


「なんでもアイス棒」は、突き刺すと何でもアイスキャンデーになる棒が登場。果物はもちろん、カレーやスパゲッティから、食べ物ではない野球ボールや自転車までアイスにしてしまう。
思いついた季節ネタをそのまま映像化したような内容で、特に語りたくなるような場面もなく。家全体がアイスになってしまい、気温の高さに溶け出してしまう展開は良かったが、もう少し作画演出に力を入れてくれないと。


「決心コンクリート」は、一度でも決めたことを遂行するまで行動を制限する秘密道具が登場。ほぼ展開の大筋は原作通りなのだが、いくつかの部分でよくわからないアレンジをしていた。
たとえば原作では、野球の参加を断る理由としてドラえもんが「のび太がいないほうが勝てるんじゃない?」といっていたが、今回のアニメではあいまいな態度で断る。原作より面白いわけでも説得力があるわけでもない。
さらに試合で敗北した原作と違い、雨で中断したアニメ版では、ジャイアンが怒っているという話に説得力がない。事実、次の日に戦いをいどもうとしたが、ジャイアンは怒っていなかった。秘密道具のせいで雨中にホームランするまで野球をつづけるというギャグ描写をオリジナルで入れるのはいいが、その後に原作の流れへ戻したかったのなら、ちゃんとそこにもオリジナル描写を入れないと。


そして来年の映画は『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』に決定。映画初期作品から、あまり人気が高いとはいえない作品をリメイクするようだ。しかも架空の自然現象で隠された空間とはいえ、アフリカ大陸の中心に未開の土地があるという、googleマップが世界のすみずみまでとどいている現代では、リアリティを構築しにくい設定が根幹にある。良し悪しの話ではないが、この作品を選んだ理由が少し不思議だ。
静止画像や各種情報がテレビ朝日の『ドラえもん』サイトにいくつか掲載され、映画公式サイトでは特報映像が公開。
http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/news/0028/index.html
『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜』公式サイト
映像を見る限り、犬の国のデザイン以外に大幅な改変はおこなわないようだ。ペコの描線が色トレスされて輝くような毛並みとなっているところが、デジタル作画の恩恵をうかがわせて面白い。巨神像が3DCGで描画されていたことだけが少し気がかり。
監督の八鍬新之助は映画に限らず初監督のはず。TVの『ドラえもん』で徐々に頭角をあらわし、最近に手がけたコンテ演出回はどれも映像面で素晴らしかった*1。SPも何度か手がけており、アクション面では大いに期待している。

*1:個人的に、2011年と2012年をそれぞれ代表するTVアニメ10話のひとつに担当回を選んだこともある。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20121229/1356830282http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20111231/1325686597