法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第21話 ひろがれ!知識の翼

 キュアウィングに変身して飛行できるようになったことで、夕凪ツバサは飛ぶための勉強が不要になったことに気づく。しかし虹ヶ丘ヨヨがつくっている野菜畑にみんなで行って、ひとつの知識が興味を広げて新たな知識を学んでいく意味を知る……


 井上美緒脚本、今千秋コンテで、さまざまな才能をもつ老女に少年が学ぶこと自体の意味を教えられる。突如として入手した超常的な能力で目標に達するカタルシスが、それ以前の努力の意味を消しかねない作品フォーマットの難点に向きあったドラマとしても意味がある。
 目標自体は超常の能力で達したとしても、その能力をうまくつかいこなすには過去の勉強が役立つこと。その勉強に関連した知識が予想していない場面で役立つこともあること。連鎖するように興味を広げて新しい知識をえること自体が、成長につながること。
 学ぶことのプリミティブな意義を描いたドラマとしては素直によくできていた。そうした知識が戦闘にも活用されるわけだが、今回は知識の応用そのものの意義を描いたストーリーなので、いわゆるカルタプロット*1でも安易とは感じない。
 しかし映像面では、虹ヶ丘ヨヨの野菜畑や過去の学習風景は止め絵でそれらしく描写できていたが、キュアウィングの雲海をつきぬける描写は台詞ほどのカタルシスを感じられなかった。クローズアップでキャラクターを見せたい子供向けアニメだとしても、やはりロングショットやPANをつかって空間を広くとり、キュアウィングが努力で到達した空の高さを表現してほしかった。降雨を日常の知識披露に組みこみつつ、雲海の上と下の明暗で飛行のカタルシスを描く話運びの良さも、曇り空の下のアクションが意外と明るいままで、脚本段階で意図しただろう対比があまり効果をあげていないことも残念。