「アワビとり潜水艦出航(せんすいかんしゅっこう)」は、のび太が夏風邪をひいているのを見て、海の別荘につれていけないことをスネ夫が口先だけで残念がる。そこで秘密道具をつかって……
2012年にもアニメ化*1した中期原作を善聡一郎コンテでアニメ化。今回の海中移動パートは意外と普通で、海中風景は島で泳ぐしずちゃんたちのほうが楽しげだったかな。
しかし2012年の感想でも書いたが、こういうエピソードでは漁業権が気になるようになってしまった。今回の海へのゴミ捨て場面が、ゴミ捨て場へもっていくことをスネ夫がめんどうくさがった描写にアレンジされていたので、いずれサザエ採集についても説明がつくようになるかもしれない。
「地下鉄をつくっちゃえ」は、外出して父親と合流したのび太たちが、満員電車で通勤するの大変さを実感する。そこで父の日のプレゼントとして、会社までの地下鉄をつくろうと思いつくが……
2008年にもアニメ化*2された初期原作を腰繁男コンテ演出に丸山宏一作画監督でリメイク。クリスマスプレゼントを父の日に変更したアレンジは2008年と同じ。
特撮人形劇『サンダーバード』の「ジェットモグラ」を思わせる秘密道具のデザインが好き。今回は割られた岩の破片や、パワー全開でブーストをかけた時の噴射炎など、メカニック作画で全体的に力が入っていて、建設機械の格好良さや土木工事ゴッコの楽しさが存分に味わえた。
父親の大変さをのび太たちが実感するにあたって、駅舎や電車の群衆をきちんと手描きで作画して、必要に応じて動かしていたところも良い。無数のモブを動かす時に3DCGをつかわないTVアニメは今どき珍しい。今どきの都会の地下鉄でホームドアを描写していないのは謎だが、どうしても物語に必要というわけでもないので、省略しただけと解釈することはできる。
そして見終えて印象的なのは父の姿。わたされた手作りの定期券をゴッコ遊びと思いつつ喜んだり、結果的に仕事に遅刻しそうで余計な労働をすることになりながら感謝を忘れなかったり。2008年の感想では子供を怒らないアレンジに疑問をおぼえたが、今回を見ると子供に強要しないからこそ真に尊敬できる親と感じられた。