木村航によるライトノベル原作、西森章監督のTVアニメ。ジーベックM2制作で2005年に放映された。
スクール水着の少女妖怪と少年が肉体にくっついた状態になる第1話など、いかにもジーベックらしいフェティッシュな少女エロコメになりそうだが、けっこうキッズアニメっぽさもある。とみながまりキャラクターデザインの適度な絵柄の古さのおかげか、それとも原作イラストの良くも悪くも幼さを表現した絵柄が結果としてアニメ美少女の記号的なフェティッシュさを消したのか。
描線が簡素なおかげか、ジーベックにしては作画が安定しているところも良かった。
物語にしても、マイノリティの隠喩である妖怪を地方社会が利用する問題について、意外とていねいに1クールかけて描いていた。半クール目の敵が暴力的なカッパ集団の跡取りにされた妹で、後継者の立場から逃げた姉を嫌悪しつつ重い好意を隠しているあたり、ヤクザとマイノリティの利用や搾取の関係を思い出す。
そして妖怪を利用した地方創生*1をおこなう展開は『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃〜』*2や『夜明け告げるルーのうた』*3、『河童のクゥと夏休み』といった作品に先行する。
あくまでライトノベル原作らしくライトに成功していくだけかに見えて、それがボーイミーツガールな主人公カップルの距離をつくりつづけ、最終的に仕事のため物理的に遠くへ行く結末になるあたり、良い意味で児童文学のようだった。時間的に主人公がヒロインと対面する時間が減りつづけ、エロコメらしさが消えていく。ひと夏の関係が作られ終わるまでの物語として1クールできちんとまとまっていた。
*1:当時その言葉はあったっけ?と思ってコトバンクを検索すると、2014年に第二次安倍政権の政策としてはじまったと出た。 kotobank.jp実際に国立国会図書館デジタルコレクションで検索しても、2014年ごろから急増する。過去の用例は数少なく、異なる単語のくみあわせで文字が引っかかった例も多い。