法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『謎解きはディナーのあとで』雑多な感想

 東川篤哉のミステリ小説をノイタミナ枠でTVアニメ化。制作はマッドハウスが担当し、2025年4月から1クールで放送された。

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 十数年前に出版された原作は本屋大賞を受賞したりTVドラマがヒットしたりと広い層に受けつつも、ミステリ愛好家からの評価は低めと聞いていた。東川篤哉の初期作品は数冊読んで、短編向けのアイデアで長編を書いたようなライトな作品でありつつ、しっかりミステリの勘所を押さえていて、悪い印象はなかったのだが……


 実際、ミステリとしてあまりに薄味すぎて、楽しめるポイントがなかった。
 令嬢ながら刑事になった女性が謎に頭を悩ませるところに、毒舌な執事が辛辣に見落としを指摘して真相を推理するコンセプトなのだが……たとえば身長がさまざまに変わる謎について、執事が指摘する小道具がシークレットシューズというあたり、いくら無能でも可能性に気づかないほうがおかしくないかと思ってしまう。
 こういうコンセプトなら、女性も平凡だが説得力はある真相を推理して、しかし主人の推理が成立しないことを執事が指摘して驚愕の真相を推理する……といった多重解決サスペンスとして楽しませてほしい。
 ちょっとミステリとしての良さを感じたのは、死体を移動させた理由にアイデアがある第10話「綺麗な薔薇には殺意がございます」くらいか。ただこれもミステリではない刑事アニメの1エピソードなら目を引いただろうが、ライトなりにミステリという枠組みで見ると細部の詰めが弱い。


 アニメーションとしても面白味がなかった。もともとノイタミナが仕事帰りの一般人を想定した枠なので、これくらい動きのない絵作りのほうが物語を気楽に見られるのかもしれないが……一般層を想定したアニメでもクオリティ向上が進む現代、マッドハウス制作でこのレベルの作画は弱すぎる。
 フジテレビ問題を受けてCMが少なくなり、挿入するタイミングなどが変わったことも、作品の安っぽい印象に拍車をかけていた。
 ただ、事件と解決を別の回に分割するだけでなく、その回の前半で前回の解決を描いてから後半で別の事件を描いたりすることもあるフレキシブルなシリーズ構成は、珍しい試みで印象には残ったが。