制作会社P.A.WORKSによる2025年のオリジナルTVアニメ。K-POPを目指す少女を描いた漫画『ガールクラッシュ』のタヤマ碧をキャラクター原案にむかえ、1クールにわたって放映された。
ヒロインたち人造人間の多様なキャラクターデザインと、アニメーションとして魅力的なガールズアクションは悪くなかった。なかでも岡村天斎コンテの最終話は頭ひとつ抜けて良かった。
各話の映像の安定ぶりもさすがP.A.WORKSらしい。作画の乱れが目に付くところはなかったし、かといってキャラクター作画を整えるだけでなくSFらしく背景もふくめて見せようとする気概を感じた。最終話の手描きっぽく見せた描線など、撮影もていねいにやりきっている。
流血や人体切断など、映像表現の規制がきわめて少ないところも目を引いた。もちろん関係者の慎重な調整もあっただろうが、この規制の少なさはMBS製作アニメならではだろうか。
そこで物語だが……現代を舞台にした第1話で生成AI流行時代ならではのSFアニメとして期待されていたらしいが……同時期に生成AIの限界を実感していたので*1、そこは期待せずに視聴した。
実際に本筋は文明崩壊後の遠未来が舞台となり、現代の知識と感覚をもつ主人公がひとりめざめて、ヒロインに助けられながら文明崩壊後の世界を見聞していく。この序盤の展開から、どちらかというと異世界転生や異世界召喚をSFに置きかえた作品ではないかと思った。
だとすれば、仲間を集めたり現地のさまざまなドラマを見聞きするロードムービー部分こそが作品の見せたいところであり、文明が崩壊した経緯の情けなさなどは物語を完結させるための設定にすぎないと理解すべきなのだろう。
その観点から難点をあげるなら、話数のわりに転調が多すぎるところが問題だ。2クール作品にすれば、出来の良し悪しはともかく、もっとロードームービー作品らしくなっただろう。そして話数をつかっただけ主人公やサブヒロインへの視聴者の愛着も強くなり、主人公に隠された設定やサブヒロインの選択の衝撃も増しただろう。
2クール作品にすれば描写できる余裕もあるので、隠された設定を知った主人公が何らかの能力を発揮して、ヒロインたちの超人的な戦闘に介入するカタルシスなども描けたかもしれない。いかにも異世界転生チート作品のように。
もともとP.A.WORKSオリジナル作品は、社風の堅実な絵作りのため日常を出発点にした作品ほど良い意味で個性があり、いかにもアニメ的な娯楽作品になるほど滑りがちという不思議な傾向を感じている。なぜか話運びも地味なくらいなので、1クールで多様なエピソードを詰め込むのは向いていない。残念ながら、この作品もその印象をくつがえせなかった。
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