幼少期から妖怪をひきつけるようになった少女、八百歳比名子。幼少期の事故で家族が死に、自分ひとりだけが生きのこった苦しみをかかえて生きている。
そしてある日に出会った少女、近江汐莉が人魚と知った八百歳は、自分を食べるように願う。妖怪にとって美味な八百歳が元気になって今より美味しくなってから食べる、と近江は言うが……
苗川采の現代妖怪百合漫画を2025年10月からTVアニメ化。主にパッショーネとの共同で元請けをはじめたスタジオリングスの、おそらく初めての単独元請け作品。
ずっと希死念慮をいだいている主人公に、まわりの妖怪が欲望をおぼえつつ世話を焼き、少しずつ過去の出来事や主人公のおかれた状況がわかっていく。
ほとんど主人公が自発的に動こうとせず、ある意味では前向きに悪化したともいえる最終回をむかえながら、きちんとドラマとしてまとまっている構成が面白かった。
映像作品としては、無理をせず動かさず描きこまず、それでもきちんと作品として成立させているところが現在のアニメでは珍しい。さらにモブには名前がなく顔も描いていないが、これは単なる省力ではなく、最終話で明らかにしたように、他者への興味関心を失った主人公の意識の反映でもある。
個別回で目を引いたのは第9話で、光が当たる場所と影が落ちる場所、信号機の青と赤、天候の変化といった対比演出をていねいにやりきっている。どの演出もベタだが、一貫してやりきることで見ごたえが生まれている。
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