「とうめいペンキ」は、のび太が子猫をひろったが、返すように母に言われる。そこでドラえもんは塗った対象が透明になる秘密道具を出し、こっそり飼おうとするが、目を離していた透明子猫が暴走して……
原作者没後にカラー作品集に収録された短編を2005年リニューアル以降で初アニメ化。さまざまエピソードで活躍する秘密道具の初出だが、原作はわずか4頁の簡素な短編。そこでスネ夫がジャイアンに追われて復讐する展開などを足している。
絵コンテは、今年から参加している個人制作アニメ作家の塚原重義。ペンキを塗った場所から透明になるのではなく、塗ってから一呼吸おいて透明化する描写は面白味がなかった。しかし、ちいさな子猫がフレーム内にいることを表現するために広角レンズをつかったり、のび太とスネ夫の独立したドラマが交錯したことを表現するため街を俯瞰で映したり、目を引くカットも多数ある。
透明子猫がくわえた魚だけ、のび太の塗り残した首だけ……が移動する描写は原作でも人々を驚かせたが、今回のアニメではホラー描写らしく恐怖をもりあげて、ジャイアンに復讐したスネ夫が逆襲されるクライマックスの透明人間ホラーにつなげたところも良かった。
しかし後半の追跡劇やホラー展開が良かっただけに、のび太とドラえもんが無軌道にイタズラを始める前半の幼児向け作品らしい行動が浮いている。その浮いた行動が時間をおいて結末につながるので、中盤のアニメオリジナル部分の良さが減じてしまった感まであった。イタズラをしていて目を離したため子猫に暴走され逃げられるわけだが、今回くらい物語を複雑にするならイタズラにも相応の理由がほしい。たとえば母の指示を感情的に生命を傷つける理不尽なものとして描いて、それへの反撃としてイタズラをおこなったという展開にする、とか。
「怪盗のび太参上!」は、2013年のアニメオリジナルストーリーの再放送。十年以上前の再放送は珍しいが、クオリティは悪くない。三宅綱太郎コンテ演出に嶋津郁雄作画監督で映像が安定している。
『ドラえもん』怪盗のび太参上!/バードキャップで大空へ - 法華狼の日記