法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『人喰いアメーバの恐怖2』

 北極探検から帰ってきた黒人研究者が、自宅に奇妙な発掘物をもちかえる。それはかつて北極に投棄された危険な不定形生物ブロブで、自然解凍されるとともに街を少しずつ恐怖に飲みこんでいく……


 1972年の米国映画。カルト的な人気となった1作目*1の十数年ぶりの続編で、前作のTV放映時やビデオ版の邦題を受けたナンバリングタイトルがつけられた。

 後日談だが1作目と物語の構造が似ていて、作品として全般的に向上していて、実質的なリメイク。1970年代の時点で配役に人種差別を感じさせず、それでいて社会派なメッセージも特にないドラマが結果的に時代を超えている。


 ビスタサイズからスタンダードサイズへ変わったこともあり、最初は前作よりも安っぽいB級作品かと思わせる。しかし牧歌的な前作とちがって、カット割りは充分にスピーディー。作品解説では「ホラーコメディ」とあるが、適度にシリアスな雰囲気もある。前作の直接的な続編でありながら、前作の映画を劇中TVで視聴するような虚実いりまじる描写はあるが、あくまで楽屋ネタにとどめている。
 ブロブは人間を不意打ちするよう一貫しており、前作より早々に巨大化して出口を覆ったりもするので気づいた人間の逃げ場もなく、惨劇がつづく説得力がある。前作のように若者を中途半端に信用する警官は登場せず、若者の友人が伝言だけで信じたりもしないから、孤独に走りまわりながら周囲から不審がられる不条理劇としての見どころもあった。
 単純にブロブがおそう場面が増えているだけでなく、特撮技術も全体的に向上。ブロブが凍結するモデルアニメーションも、『スター・ウォーズ』に参加したスタッフによるもので技術的に無理がない。自動車がブロブにつつまれる場面は『ゴジラ対ヘドラ』のようでもある。