法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』立体パズルハンマー/サンタイン

「立体パズルハンマー」は、のび太が簡単なパズルに1週間もかけたところ、巨大な立体パズルを作っているスネ夫にバカにされる。そこで、何かを叩くと立体パズルのピースに分割する秘密道具が登場するが……
小林英造脚本によるアニメオリジナルストーリー。今年から参加している佐野隆史がコンテを担当し、作画監督が3人も入って、立体パズルを組み立てるアニメーションを手描きでていねいに作画していた。内容物ごとピース化されるため、ポストなどは断面図も面白くなっている。
シンプルな秘密道具の機能から意外な応用を見せる展開にも感心した。ドラ焼きをピース数の多いパズルにしてドラえもんを足止めしたり、邪魔な自動車をどけるため分割するあたりは小手調べ。大きなスイカを冷蔵庫に入れるため分割することに始まり、宅配する卵を割らないためパズル化しておくことへ発展。そこで卵はすぐ戻せるようピース数を少なくしたのに、ふりまわしたため違う卵のピースと混じって難解化した展開には良い意味で驚いた。
人体もパズル化されるブラックな展開が始まるのも原作らしさがあるし、そこでドラえもんがまず分割されるかに見せて肩透かしするツイストも良かった。最後にパズルが完成できていないのにスネ夫が動けているのは設定に反しているが、絵面の面白味を優先したとわかるし、ドラえもんがいるので別の秘密道具で動くことができたとフォローすることもできる。意外な佳作。


「サンタイン」は、暑さから逃れるため身体を液体化する秘密道具をドラえもんが使った。のび太も面白半分に秘密道具で液体化し、気体化してイタズラを楽しむが、やがて命の危機に……
2006年にアニメ化した原作後期の短編を、善聡一郎コンテでリメイク。季節ネタでもあるが、今回の前半を受けるように、さらに人体が変容していくビジュアルが楽しめる。
のび太が歩く時に描線がぶれたり、気体化した動きは見事。アニメオリジナル描写のジャイアンのかき氷についても、のび太は食べられないが舌でなめるそぶりで嫌がらせはできるのが面白かった。
しかし液体化したのび太がとびちると水色になったり、ところどころ色指定に違和感があったのが残念。そこはデジタル技術でセル画部分を透過させたりしてほしかった。