法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』大みそかだよ!ドラえもん1時間スペシャル〜世界の未確認生物ずかん〜「雪男のアルバイト」「かまいたちのクック」「ハロー宇宙人」

再放送2本と、アニメオリジナル1本。ブリッジ部分では、今どき珍しいUMAの紹介コーナーも。


「雪男のアルバイト」は、山奥に雪男がいるというTV番組を信じて、のび太たちは村へと向かう。あらわれた雪男を追いかけて、どうくつに入ったのび太たちは、とんでもない真実を知ることに……
2007年11月16日に放映された短編の再放送。日本の雪男は偶然に始まり商業化された偽物だが、ヒマラヤには本物がいるというバランスが興味深い。どこでもドアでヒマラヤにいったとたん遭遇するギャグもとぼけた味わいがある。サブタイトルがダブルミーニングになっているところも面白い。
ただ、アニメ化において原作を超えた魅力までは作ることができていないかな、という感じはあった。


かまいたちのクック」は、妖怪を信じていることを笑われたため、のび太は秘密道具をつかって妖怪を実在化させようとする。そんな時、かわいらしい動物と出会うのだが……
新作映画と同じ秘密道具を使ったアニメオリジナルストーリー。しかしメインになる妖怪かまいたちの能力や姿が、伝承や創作の類型と異なっていて、秘密道具で意図せず生まれた感じがしない。そういう妖怪として意識して想像しないと、秘密道具の機能的に生まれないのではないかと感じる。
少し良かったのは、かまいたちに出会った当初は妖怪と気づけず、バッジをつけていない者に知覚されないことで気づくところ。それゆえ細部の描写の甘さも気になる。秘密道具で生みだした存在は特殊なバッジをつけないと知覚できないはずなのに、小鳥をつかまえることができたのはなぜなのか。


「ハロー宇宙人」は、偽物の空飛ぶ円盤でUFO愛好家を騙しているスネ夫に怒って、本物の火星人を人工的に秘密道具で作りだそうとする。そこで火星を観察するドラえもんたちだが……
2005年のリニューアルでアニメ化された短編の再放送。UFO写真の多くは捏造だというクールな見解に立ちつつ、本物を作りだすことで二転三転した皮肉な結末をむかえる。『竜の卵』のような異文明介入SFのようなおもむきもあるし、異文明から地球を観察する風刺SFとしても成立していて、密度の高い短編だ。