法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第11話 地球の魔女

ミオリネと距離ができたまま、仕事のなかでスレッタは自己評価をさげていく。一方、グエルが身分を隠して乗りこむ宇宙船を強奪した集団のなかで、ひとりの少女がスレッタの戦闘記録に興味をいだいていた……


会社の運営や策謀、テロリズムを演じる組織など、大人の社会を描いているようでドラマとしては学園部活アニメのよう。
しかし、パイロットが敵パイロット個人に興味をいだくような描写は、そもそもスポーツアニメの世界観ともいえる。映像で予習するだけならともかく、戦争ならば末端の敵を個人として認識していく必要はない*1。『ガンダム』シリーズで定番のパイロット同士の因縁は、個人が集団にくみこまれる戦争という舞台に本来はあわないのだ。そういう意味で学園という舞台は、現代のリアリズムにあわせて『ガンダム』らしい物語を展開するため必然的だったのかもしれない。


原画にサンライズ生え抜きの金世俊や、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ*2に参加していた沖浦啓之など*3。作画は1週間休んだだけあってか序盤のように整っている。
しかし、TVアニメならあまり統一性を重視せず、失敗もふくめたアニメーターの個人技を許容してほしい気分もある。後工程を理解せず原画になって動かしすぎるアニメーターの問題が先日に話題になっていたが、そういう失敗した画面から感じられる迫力もいいものだ。
hokke-ookami.hatenablog.com

*1:記録映像を敵視点で見ることで主人公の強さを位置づけする手法は、ちょうどアニメ映画化されたばかりの30年前の漫画『スラムダンク』以降に、部活物でよく見るようになった印象がある。もちろん、先行作品がある可能性は高い。

*2:hokke-ookami.hatenablog.com

*3:無重力で引きあう質量を感じさせるトイレの嫁婿攻防と推測されている。しかし基本的に精密なアニメーションを得意とするアニメーターなのに、口をひきむすんだミオリネの表情など、むしろ普段よりアニメっぽいデフォルメで芝居をつけていることが興味深かった。