シャディクとのチーム決闘で勝利して、株式会社ガンダムのたちあげのためミオリネは2週間以上の出張中。留守をまかされたスレッタは花婿として温室の世話をおこない、ガンダム技術をつかった義足のテストを成功させる。しかしシャディクは決闘とは異なる方向からの目標達成を計画していた……
ひさしぶりの大河内一楼脚本。絵コンテは第2話以来の京田知己が担当し、同じように本編では出番のないモビルスーツの作戦行動をED後のCパートに配置。第2話を視聴した時点では作品の方針と思ったが*1、モビルスーツの活躍をノルマのように入れる判断は京田監督の意図だったのかもしれない。
映像面では義足のていねいな動きをきちんと手描きで作画したことが目を引いた。障害物をクリアする描写がスポーツアニメのようで、達成した時のカタルシスに『プラネテス』の「バウンダリー・ライン」を思い出す。
そうして物語はAパートで学生たちの起業風景を楽しく描いて、ディスコミュニケーションの種をまきながらBパートのすれ違いに移行していく。ミオリネのそっけない言葉で距離をとられて傷つくスレッタの幼さは学園ラブコメらしく、離れた時間で心の距離を感じるのは職場ラブコメの定番だが、その断絶の引き金をひいたのは大人たちの送りこんだ操り人形であり、子供のドラマと大人のドラマが二重構造になっているこの作品ならではの面白味があった。
さらに地球の子供たちが育てようとする会社が陰謀に乗った地球人たちにはばまれそうだったり、底辺から再出発しようとする御曹司グエルが結果としてシャディクの作戦で危険に直面したり、皮肉な展開が多い。それは悲劇の予感にとどまらず、被差別地域が権力者の思惑で分断されて対立させられる社会の痛みをあらわしてもいる。
内でも外でも学園以外の生活がはじまろうとして、主人公たちは大人にならざるをえない状況になりつつある。今回はまだドラマは動いていないが、次回への助走として期待させる内容だった。