2時間SP。
人工衛星から世界中の不思議な情景を見せる定番番組では、夜のインドに見える長い橙色の光の線が印象的。都市の光や儀式の列などの説がとなえられたが、インドとパキスタンの国境にはりめぐらされた柵の照明とわかる。よく宇宙からは国境など見えないという言葉があるが、宇宙でも国境が見えるように世界をつくりかえてしまったのが現代人なのだ。
他に1962年に米国がキューバで発見した六芒星は核ミサイル基地で、キューバ危機につながった。逆に1985年に米国が中国で発見した輪状の建造物を潜入調査すると核ミサイル基地ではなく土楼だった。苦労しなくても図書館でしらべればわかる昔から知られた文化なのだが、過去の知見が不信感を生む連鎖が起きているというスタジオでの指摘がするどい。
氷のなかから見つかった謎を解明するドキュメンタリは、グリーンランドの氷の下に沈んだ第二次世界大戦の軍用機などを紹介。軍用機は当時にあった基地でうまく離着陸できず回収する余裕もなく放置され、年月をかけて溶けては凍る氷へ沈んでいったらしい。
他にヒマラヤ山脈の中腹にあるループクンド湖では、一世紀近く前に約800人分の人骨を発見。インドに攻めこんだ日本軍兵士という説まであったという。しかし2003年に調査をおこなったところ、数世紀にわたって堆積したと判明。どうやら周囲で遭難などで死んだ登山者がすりばち状の斜面を湖まですべりおちてきたらしい。頻度で考えると1年に1人死ぬくらいで、ヒマラヤゆえに腐敗もせず骨が残ったと考えると、そう不思議でもないか。
イタリアの雪山では、氷の中から上半身をつきだし逆さづりになった死体が発見された。第一次世界大戦の衛生兵と聞いた時点で予想はついたが、やはり山に埋められた戦死者が雪解けですべりおち、上半身だけ露出しただけのよう。兵士が誰なのかは調べてもわからず、無名兵士の墓地に入ったという。
チリからは犯罪者に対して囮捜査をしかける番組を紹介。今回は代替医療で金銭的にも身体的にも被害を出しているホルヘという男を調べる。
振り子をつかって病状をしらべる代替医療を単純に笑いものにしていて、誰も指摘しなかったが、明らかに古典的なダウジング。かつては日本のTV局で真面目に紹介されていたことを思い出す*1。
しかし番組が用意した健康な人々に病気を見いだして念ずるように治療するマッチポンプは予想の範囲内だが、女性相手に治療のふりをしてセクハラ三昧なホルヘがクズすぎる。病気で心が弱った人を騙して治療を遅らせるだけでも許しがたいのに、人格者のふりをすることすらできない。
番組の対抗策が医者を呼んで嘘を指摘させるのではなく、別人に代替医療をおこなわせてホルヘに商売敵と思わせる工夫はちょっと良かった。おそらくホルヘにとっては慣れっこで通用しないだろう「論破」より有効になりそうなのはたしかだ。
米国のイリノイ州からは、ホロコーストを逃れるため家族とわかれて海をわたったユダヤ人の少女が、船上で同世代のユダヤ人少女と友人になったが、はなればなれになった物語。
イーディスは1938年、ゲルダ・ガッツという少女と仲良くなったが、里親のところへ行くためにニューヨークから離れることになった。住所のメモをわたしたが、ゲルダから手紙がとどくことはなかった。
それから数十年たち、イーディスの娘が書いた物語が中学校の授業でつかわれると、学生たちはイーディスとゲルダを再会させようとプロジェクトをたちあげる。百人以上で人名を検索し、米国やカナダに同姓同名が数人いることが判明。そして怪しまれないよう会話の表現を議論して決定し、教師に電話をたのむ。そして生存していたゲルダとイーディスは再会できたという。
しかしスタジオで北野武が家族がきちんと探せばすんだのではと指摘したように、インターネットをつかった探索から発見までが早すぎる。元ドキュメンタリではそれなりに苦労したり検索の工夫が描かれていたのかもしれないし、家族の言葉で少し紹介されたように過去の傷を思い出したがらないドラマがあったのかもしれない。
最新の気候変動対策技術を紹介。
イタリアでは、高波が街中に押しよせて建物を劣化させるまでになったベネチアでは、8000億円もの巨大な昇降式堤防モーゼを水中に設置。昇降に時間がかかるので高波が押しよせそうな予報が出ると先に起動し、いくつもの山形の巨大ブロックが上昇して一列になって水が押しよせることをふせぐ。初起動時にはふたつほどブロックが上昇せずに再起動して成功*2。また、より安い予算で可能な技術として、地中に水をおくりこんで地盤全体をもりあげる手法も考えているという。同じくイタリアのノーノという地域では、海中に沈めた透明なカプセル内で野菜を栽培。野菜工場のように液体肥料などで育てる実験がされているという。
他にモルディブ共和国では*3、土地が沈むなかで居住地を確保するため、水上都市を建設中。番組で紹介されたのは3DCG製のプロモーション映像で、完成は2027年を予定しているとか。
スウェーデンからは海面から90m下の海底にある謎の巨大円の謎を追う。高級ワインをひきあげた経験などをもつトレジャーハンターが、ソナーで海底に60mサイズの円らしき影を発見。
それが報じられたことでミレニアムファルコンのようだとTV番組のキャスターが評したり、地滑りなどで海底にある遺跡という説や自然にできたくぼみという説がとなえられる。
そこで海中に探査機をおくりこんで撮影すると、明らかに人工物の薄い円柱のような姿がうつしだされる。しかしなぜか空飛ぶ円盤だという説が浮上し、スウェーデン海軍はその後の調査に協力しなくなり、謎が残っている……
……海中映像がどう見ても低予算映画のような3DCGだったし、おそらく元番組はフェイクドキュメンタリーとテロップなどで明かしていると思うのだが。
*1:『ドラえもん』でも公的機関がつかっていた新聞記事が紹介されている。
*2:もっと単純なシステムのほうが良いのではと思ったが、干潟を守るため堤防を常設したくないようだ。 55096962.seesaa.net
*3:気候変動による打撃をうける代表的な国家のひとつとして、以前に特集的に紹介された。 hokke-ookami.hatenablog.com