法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第44話 魔女の一番大事なこと

戦いで変身が解けたキュアサマーをエルダが地下牢に落として救い、残りのプリキュアも同じように戦いからしりぞく。そして変身をといたみんなは、ローラから伝説のプリキュアとあとまわしの魔女の因縁を教えられる……


横谷昌宏シリーズ構成の脚本に佐々木憲世演出、青山充作画監督。伝説のプリキュア、キュアオアシスの変身や必殺技を新規作画で描いた部分などは別の原画マンが担当してそう。
明かされた魔女の背景は、もともと「破壊の魔女」だった魔女が人間の娘と仲良くなってしまい、その娘がプリキュアになったことで、決着をさきのばししつづけたというもの。一話一体ずつ敵が襲ってくるパターンに、新たな理由づけがおこなわれた。

× あとまわしの魔女
○ さきおくりの魔女

真面目な話、この真相は『スイートプリキュア♪』の「絶対に許せない!」のような、メインテーマだったフレーズを逆転して相対化し、敵をも救う展開を思わせる。
『スイートプリキュア♪』第47話 ピカーン!みんなで奏でる希望の組曲ニャ! - 法華狼の日記

「絶対に許せない!」が決め台詞だった作品で、最後の敵をプリキュアが許したという成長劇でもある。

くわえて、魔女と対峙したキュアサマーの言葉によって、「あとまわし」で停滞したことは問題だったと再提起された。この再逆転によってメインテーマの説得力が期待以上にあがった。
また、世界の破滅を強硬にもとめる敵幹部バトラーが、永遠とも思える後回しにつきあっていた立場ということもわかった*1。つまりバトラー自身に破滅をもとめる動機があるのではなく、主人の使命を達成したい動機だったことになる。最終回間近なのに裏切りや陰謀のドラマを描いたり戦いのスケールを大きくすることは難しそうだと思っていたが、なるほどこれなら残り話数にあわせて話をまとめられるだろう。なおかつ、捨てたことで主人が幸福になった使命に固執する部下の姿は、変化をおそれることに問題があるという作品のメインテーマにも合致する。
ただひとつだけ、海中設定なのに涙がほおをつたって下に流れているのは疑問。変身シーンなども薄暗くしているくらいなのだから、涙も粒状になって浮かんでいくような描写にしてほしかった。

*1:シリアスな流れのはずが、作風のため天丼ギャグに感じてしまい、見ていて笑ってしまった。