南乃島でスキューバダイビングを楽しむトロピカる部。人間の姿で泳げないローラは陸で待っていて、後でいっしょに泳ごうと夏海に約束される。
そんな島でおこなわれる南乃まつりでは、近くの小さな島に船でわたる時、願いを書いた石を海に投げると願いがかなうという。そこでトロピカる部は……
深澤敏則*1コンテに守護このみ脚本で、しっとりした雰囲気のストーリーが流れる。藤原未来夫作画監督で、全体的に頭身が高め。
今回は住宅が赤瓦をつかっていたり、前回と比べて日本の南方っぽさが多少ある。とはいえ、やはりモデルを特定しない完全な架空の島くらいの印象だが。
『トロピカル～ジュ！プリキュア』第22話 ヒミツの大冒険！ 人魚の宝を探せ！ - 法華狼の日記
南乃島の文化が鹿児島や沖縄を参照しているとは思えず、日本昔話的なイメージを援用している感じだったのは、もう少し作りこんでほしかった。導入で終わったと思わせた主人公の出身地をせっかく連続エピソードでふりかえっているのに、今のところ奥行きが生まれてこない。
願いをこめた石を、願望ではなく決意表明と位置づけることで、逆にトロピカる部の誰もが高尚な願いをしないところに味わいがあった。そもそも母親のエピソードからして夫婦のなれそめかと思わせて肩すかししている。
ローラの隠したい願いは見えすいているが、敵が怪物化した願い石の特徴からローラのものとわかって、文章を隠すようにひとりで倒してしまう展開が楽しい。まさか前回の新アイテムによる強化が、こんなかたちで単独で敵を倒す展開につながるとは思わなかった。
結末も夏休みの余裕ある時期らしい穏やかな時間が流れながら、どこまでも軽くて深刻にならない。この作品の個性ではあるのだろう。
*1:前作でシリーズ初参加、今作には初登板。
