法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第35話 わくわくハロウィン! 負けるな、まなつ!

パイナップルを収穫して山積みにするトロピカる部。収穫祭という説もあるハロウィンのための準備だった。そしてハロウィンの仮装コンテストに向けてコスプレをする部員のなかで、優勝を目指すローラは衣装を決められないでいた。そしてローラが不在なところにヤラネーダがあらわれるが……


貝澤幸男コンテに松浦仁美作画監督らしく、気合いの入ったコスプレ作画が可愛らしい。人狼コスチュームの夏海などアニメとしてまとまり良いデザインで、なおかついつも以上に元気よく動く。原画スタッフが多いので大変そうな感じはあったが。
ただ、こういうイベントで制服姿のまま裏方を担当する白鳥会長は、これはこれでキャラクターを感じさせるが、やはり何らかのコスプレを見たかった。本人はしぶしぶでも周囲に着せられるとかしてもおもしろかったのでは。


脚本は守護このみで、季節イベントではありつつ販促イベントではないエピソードなのに、いくつものフォーマット破りをしかける。
敵が怪物化につかっていた球が事故で自動的に発動したり、ローラがいないためキュアサマーが代理でやる気パワーを回収しようとしたり。そのためひさしぶりの4人変身バンクをつかい、新規のアイテム使用バンクまで作成。Aパートでヤラネーダを倒してしまった。
もちろん先走ったキュアサマーはアイテムを充分に機能させられず、ローラに叱責され、フォローしようとして今作で三度目の人格入れかわりまで発生。超ゼッタイヤラネーダとで一話内で二度目のプリキュア戦もおこなわれる。


シリアス回でフォーマットに変化をつけたことで次の展開が予想できず楽しめたし、元気いっぱいの主人公がそれゆえに前のめりで周囲を巻きこんでつまづく苦いドラマも作品全体の良いアクセントではあった。
ただ、そもそも夏海はそれほど積極的に先走るキャラクターだったろうか?という疑問も見ていて感じた。どちらかといえば動く人々を「トロピカってる」と評価し承認してきたのであって、見た目ほど周囲を無視して動く人格ではなかった。
『トロピカル~ジュ!プリキュア』第32話 駆けろランウェイ! さんごのファッションショー! - 法華狼の日記

意外と夏海が機能していないことも痛感した。「トロピカってる」という他者への肯定が決め台詞なだけに意外と受動的なキャラクターとなっており、初回で感じた野性的な魅力があまり出ないことが多い。

それが主人公としての存在感が期待より出てこない結果につながっていたのだが、終盤に入って1エピソードだけ急に方向修正しようとしたのなら当然にこれまでと比べて違和感が出てしまう。
今回のようなエピソードはもっと早く1クール終わりくらいでやって、夏海が落ちついたキャラクターになった背景に位置づけるべきだったのではないだろうか。