一之瀬みのりという二年生は、幼いころから人魚姫の物語を愛していた。人間の少女と人魚姫が協力して冒険をくりひろげる小説を創作するほどに。
しかし文芸部からはなれた一ノ瀬は、ひとり図書室で物語を愛するようになった。そこに夏海と鈴村という後輩があらわれて、距離を縮めてくる……
『スター☆トゥインクルプリキュア』でSDをつとめた宮元宏彰が演出で、濱野裕一や爲我井克美にフィリピンアニメーターあわせて4人が作画監督。
新プリキュア登場にとどまらず、本編でも映像の手法が多様な回だった。人魚姫の物語や、自作小説などを描く場面で、アニメっぽくない挿絵のようなタッチで作画した演出が目を引く。アイテムから頭だけ出したローラが夏海とかけあいする姿もシュールでいい。
しかしそんなローラは画面のにぎやかしで、今回は多くの舞台が図書室ということもあり、真夏が初回以来のポジティブさで一ノ瀬にせまっていく。
鈴村よりずっとネガティブで、国語の成績こそトップだが文芸部も挫折*1している一ノ瀬は、予想よりずっと個性的なキャラクターだ*2。ローラや夏海のポジティブな言動がポップに描写されているから、しっとりムードをつくった物語のコントラストががきわだつ。
そしてローラは人間を見くだす利己的な人魚として『人魚姫』の結末を否定する転換点となる。初回で夏海が叫んだ、自分の心身を自分が制御したいという思いが、他の少女をささえる。キャラクターの魅力がテーマの一貫性と密接につながっている。
一ノ瀬が変身したキュアパパイヤは、キュアラブリーのような目からのビーム攻撃を、ゴーグルをかけておこなう。眼鏡という個性を活用していて非常に良い。いずれ通常時から眼鏡をしたデザインのプリキュアも見たいが、キュアパパイアは眼鏡をつけてないプリキュア状態での睫毛の処理がおもしろくて、今作は充分これで良い。