なぜかアクアポットに人間の一之瀬が吸いこまれてしまい、ローラとともに出てくると、中身の人格が入れかわっていた。そのことをトロピカル部にも隠して、ローラは堂々とした学校の生活を、一之瀬は人魚としての海中散策を楽しむが……
5年前に『君の名は。』が大ヒットしたことも記憶に新しい人格交換物語を、よくある男女や老若ではなく、人間と人外のあいだで展開する。
まず中身ローラ一之瀬が新体操のように飛び回る姿を、きちんとアニメーションで動かしていたところが目を引いた。中身ローラ一之瀬が変身をこころみるシーンでは、変身バンクの手描き作画や3DCG素材を、イメージBGではなく通常の背景に重ねて、リソースをつかわず特別感を出せていた。
中身一之瀬ローラの海中散策は短めだが、世界観にそった範囲でリアルな海中描写ができている。アクアポットに入った空中飛行が難しくて疲れもするという描写で、あまり地上移動で多用していない過去描写を説明したことも地味に良かった*1。中身が元に戻った一之瀬が眼鏡を装着して顔をひきしめるシーンも、眼鏡をはずす変身バンクにあわせるためだとしても、わりと女児向けアニメでは珍しい。
異なる視点を知ることで視野を広げる定番は弱いが、弱い自己を承認できるようになった一之瀬と、より活動的だからこそ不満を自覚したローラという、シリアスな対比も悪くなかった。
応援団の手助けで滝沢と夏海が学ランを着て鈴村はチアガールになったりと、本筋に関係ない描写も楽しい。前回*2に感心したキュアコーラルが一般人を助ける場面も、さっそく今回あって良かった。
守護このみ脚本はこれまでどおりそつがない。絵コンテは前々回*3と同じ小村敏明。東映でもローテが長くなりつつあるなか、意外性のある登板。
*1:第3話の時点の懸念を解消する内容ではないし、むしろ移動の制限が今作の序盤でしか描きづらいことを設定として確定させた描写ともいえるが。 hokke-ookami.hatenablog.com