法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドキュランドへようこそ』「RBG 最強の85才」(後編)

弁護士として女性の権利拡張を成功させてきたルース・ベイダー・ギンズバーグが、女性としては史上二人目の最高裁判事に選ばれ、ノトーリアスRGBと呼ばれる若者のアイドルとなった後半生を映す。
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最高裁判事になったRGBは、当初は妥協的な道を選んだという。保守派の最高裁判事とも、友好的な関係をきずき、ともにオペラを楽しんだりする。コメントで登場するブレンダ・フェイゲン弁護士が「私は右翼に親しい友人なんていません」と言明したことと対照的だ。
『ドキュランドへようこそ』「RBG 最強の85才」(前編) - 法華狼の日記

国家の利益に直結したり、女性差別の結果で男性が不利益をこうむったりする、男尊女卑社会でも認められやすそうな争点に「……なるほど」と思った。もちろんそれでギンズバーグが責められるべきというわけではなく、そのような方向性を選ばせた社会について考えこまされたといったところ。

しかし最高裁判事が入れかわり、保守派の重心が増すなかで、RBGは中道的な妥協策から対立路線を選んでいく。前半生と違って権利拡張運動家としては敗北を重ねながら、少数派の一票を投じて、その厳しい意見が若者の注目と人気を集めていく。
トランプ大統領を珍しく感情的にペテン師と呼び、謝罪に追いこまれもする。オバマ時代に引退すれば後任にリベラルな判事が選出できた可能性を指摘されながら、働けるかぎりは今の立場でありつづけることを堂々と語る。
弁護士でありつつ家事もこなした夫を2010年に失い、自身も二度の癌をわずらいながら、フィットネスで心身をきたえていく姿がまぶしい。少数派である立場を選んで、ノトーリアスの未来は輝いていた。


2018年のドキュメンタリーの最後に、RGBが2020年に没したテロップが追加される。トランプ大統領が米国の民主政治を破壊して、引きさがらざるをえなくなる直前までRGBは生きぬいた。
しかしドキュメンタリーでは語られないが、RGBの後任として保守派の、それも多くの能力的な疑問符がつけられている最高裁判事が誕生した。
トランプ氏、後任の最高裁判事に48歳女性指名へ 人工中絶反対の保守派 - BBCニュース

11月3日の大統領選を目前にした後任人事に、野党・民主党は猛反発している。

2016年に当時野党だった共和党が大統領選の年に終身の最高裁判事を決めるべきではないとして、バラク・オバマ大統領(当時)が指名した候補について審議を拒否した経緯もある。

慣例ならば大統領選の年は次の大統領が誕生するまで指名されるなかった。憲法の理想に殉じたRGBが信念をまげて口走ったように、本当にトランプ大統領とそれを支えた共和党はペテン師だった。