ベネチア国際映画祭 黒沢清監督が監督賞 「スパイの妻」で | エンタメ | NHKニュース
「スパイの妻」は、太平洋戦争の直前に国家機密を偶然知ってしまい、正義のために世間に公表しようと暗躍する男性と、その妻の物語です。
授賞式のあとの記者会見で、審査員長を務めたハリウッド俳優のケイト・ブランシェットさんは「すばらしい監督による映画はいくつもあり難しい決断だったが、最終的にはこの作品が監督賞だということは明らかだった」と述べて、評価しました。
現代を舞台にこれまで多くの作品を手がけてきた黒沢監督ですが、「スパイの妻」では初めて戦時中の日本を舞台に映画を製作しました。
現代を舞台にといっても、リアリティある描写を淡々と積み重ねながら一気に世界の異常な裏側をむきだしにする、そんな作風のホラー作家という印象が強い。
とはいえ、もともとVシネマでヤクザの暴力も描いていたし、後述の『一九〇五』の代替作品として作られた『Seventh Code』も意外とスパイアクションをそつなく演出できていた。
アポカリプスの予感をただよわせる物語や、兵器によるディザスターをVFXで描写することは『カリスマ』や『回路』でこころみているので、こういう映画も不得意ではないだろう。
ただ公式サイトの予告映像を見るとTVドラマっぽく、黒沢監督らしい緊張を映像から感じない。海外で高評価をとったなら実際には悪くないと思いたいが。
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はてなブックマークが公式サイトにほとんどついていないことも意外だ。
[B!] 映画『スパイの妻』10.16(金)公開
私自身も、期待していた日中合作の歴史映画『一九〇五』が2013年に頓挫した後、このような作品を撮っていたとは全く知らなかったが。
そのリメイクあるいはブラッシュアップした作品なのかと思ったが、けっこう時空の離れた1940年の日本が舞台のようだ。
NHK8Kドラマが、映画作品として賞をとったという経緯そのものも興味深い。同じようにNHKの共同制作映画『37セカンズ』*1が海外の映画賞をとったことも記憶に新しい。
配信の弱い日本ではTV局が主体となって長編映画をつくり、国内外で内容が高評価される流れはしばらくつづくだろうか。