フワの犠牲で蛇使い座のプリンセスは封印されたかと思いきや、犠牲をこばむ星奈の思いが封印を失敗させた。そして宇宙は闇に飲みこまれ、変身できなくなった星奈たちも闇に閉ざされていく……
村山功シリーズ構成の脚本に、宮元宏彰シリーズディレクターの演出。プリキュアの復活から最終決戦、そして別離までを1話で描ききった。
作画監督は松浦仁美と増田誠治の共同で、原画に芳山優や仁井宏隆、鷲北恭太など。特徴を知って*1から見ると、たしかに芳山作画はわかりやすい。あまりアクションでアニメーターまかせにしない今作で、決戦も敵巨大化や1対1のように見映えする状況ではなかったが、さすがに全員に出番をわりふって充実した戦闘で楽しませてくれた。
しかし情景として印象に残ったのは、暗闇にただよう星奈たちをていねいな陰影で浮かびあがらせた前半と、言葉をもらす表情をクローズアップでていねいに作画した結末。この作品らしい力の配分だったと思う。
物語も、おおむね順当にまとめていたと思う。
復活から決着までの展開はシリーズの定番にとどまるが、5人がたがいをよりどころにする描写を長くとり、それぞれの心中にあるイマジネーションが歌声としてあふれる変身バンクにつなげて、爽快感があった。
他に何もない暗闇でたがいの存在を知ること、それそのものが復活のきっかけになるというのも、異なる他者と出会う今作のテーマをきわだたせる。暗闇に飲みこまれていく宇宙各星の情景や、プリキュアの味方としてイメージされる多様な人々の姿も、想像を超えたところに他者がいるという、地に足をつけるより遠くを見あげることを選んだ今作らしさがあった。
また、全てが終わってからプリキュアが蛇使い座のプリンセスを敵視しないことはもちろん、他の十二星座のプリンセスもさほど重視していないのが、過去にない味わいがあった。
フワを残すことに同意できたのも、プルンスがまかせるようにうけおったから。ガルオウガに腕輪をたくしたのも蛇使い座の気まぐれで、本当に他のプリンセスは何もしていない。
プリンセスがフワを道具あつかいする前回*2の衝撃を思うと、もっとプリンセスとの決定的な衝突を描いてもいいと思ったが、ほとんどまともに目を見ないまま別れるのもこれはこれで断絶感があって良い。
*1:『スター☆トゥインクルプリキュア』第41話 月よ輝け☆まどかの一歩! - 法華狼の日記このエントリを書いた時点でようやく意識したが、『カードファイト!! ヴァンガード』で一人原画をおこなったりと、すでに一部から注目されていたアニメーターだった。